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米国、ベトナム、フィリピン出張報告(その①~米国編~)
1.4月29日(日)夕方、成田空港を発ち、米国シアトルへ。今回の出張の目的は、ゲイツ財団のあのビル・ゲイツ氏と会うためである。昨年、超党派の「ポリオ(小児マヒ)撲滅議連」が主導して、日本政府とゲイツ財団の連携のもと、パキスタン政府によるポリオ・ワクチン撲滅の支援を行った(ポリオ議連については、2012年4月11日ブログ参照)。具体的には、日本政府から約50億円の円借款をパキスタン政府に供与し、パキスタン各地でワクチン接種を実施したのであるが、その実施状況を、ゲイツ財団がモニタリングを行って、着実に実施されることを確保し、日本政府への返済をゲイツ財団が行うという枠組みである。実際、私も昨年9月にパキスタンのワクチン接種の現場の視察を行った(2011年10月11日活動報告参照)。

2.そして、今回、同じような枠組みをアフリカ・ナイジェリアで行うべく、意見交換を行ったのである(写真①)。ゲイツ氏との面談時間は30分。ゲイツ氏へのアポイントは極めて難しく、よほど意味があると判断されない限り、アポは入らない。日本の国会議員ともまず会わない、と言う。しかしながら、ゲイツ氏の現在の活動は、その約1割をマイクロソフト関係、1~2割はエネルギー関係に、そして、大半の時間をゲイツ財団の活動に充て、その多くがポリオ撲滅のために費やしているとの由であり、ポリオ撲滅は、ゲイツ氏の最大の関心事項と言っても過言ではないのである。それでも、ゲイツ氏との面談の直前には、ゲイツ財団のスタッフと約1時間打ち合わせをする念の入り様であった。

ゲイツ氏は、ダイエット・コーラを片手に、次から次へと論点を整理して話される。頭の回転の速さを感じさせる。今秋(10月)の東京でのIMF・世界銀行総会に合わせての来日を要請したところ、「最近は貧しい国ばかり行っている」と言われ、ナイジェリアやコンゴなどを挙げたが、日本への訪問も前向きに検討してくれると言う。日本政府とゲイツ財団の連携のもと、ナイジェリア支援の実現に向けて、さらに詳細を詰めていきたい。

3.シアトルでは、旧知の親日派のマグダーモット下院議員(貿易小委員会筆頭委員)と意見交換(:2009年3月1日活動報告参照)。マグダーモット議員は、医師でもあり、このゲイツ財団とのポリオ撲滅への取り組みにも関心を示された。また、TPPはじめ日米関係についても意見交換したが、マグダーモット議員は、「日本とさらに関係を強化したいが、毎年総理が変わる状況では、突っ込んだ話ができない」旨言及された。やはり政治の安定は外交の基礎である。内政を固めないと外交どころではない。次の衆議院選挙、来年の参議院選挙を通じて、日本の将来のために、安定政権をつくるべく、政界再編も視野に入れつつ、全力で頑張りたい。

4.また、ボーイング社の工場を視察(、④)。最新機の787の製造は遅れ気味ではあったが、ようやく月3.5機のペースで生産する体制が確立しており、フル生産。仮に今から注文しても2020年まで待つことになると言う。創業者ボーイング氏とも記念撮影()。
シアトルには、このように、マイクロソフト、ボーイングの他にも、アマゾン、コストコといった米国を代表する企業が数多くあり、スターバックスも本社()を構える。そのスタバの第一号店は、スタバのマークが緑ではなく茶色で、その珍しさ故か、観光スポットとして大いに賑わっている(、⑧)。

シアトルには、進取の気性に富んでいるとともに、米国内で最もアジアに近い場所ゆえに、その玄関口として極めて開かれた雰囲気である。治安もいいし、日本の学生たちもより多く訪問、滞在してほしいものである。

5.私にとっては、初めてのシアトルであったが、かつて多くの日本人が入植し、ホテルや飲食店を経営し、日本人街、アジア人街を形成していった。は「武士ホテル」が由来の「ブッシュホテル」、「PANAMA HOTEL」()は、一階のカフェ()がおしゃれなホテルで、「MANEKI」()は、かつて三木武夫元首相が若い頃アルバイトをしていたというレストラン(居酒屋?)である。

今こそ我々は、先人のこうした姿勢を学ばなければならない。海外に目を見開き、外へ外へと繰り出したのである。正に“海洋国家”である。閉塞感の強い現在の日本であるが、海外に、そして、未来に、大きく目を見開かなければならない、ということを改めて痛感したシアトル訪問であった。