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米国、ベトナム、フィリピン出張報告(その②~ベトナム編~)
1.5月1日(火)、2010年11月以来、5度目のベトナム訪問である。シアトルから韓国仁川経由で30時間かけてやって来た。ベトナムは、来る度に、その発展ぶりに目を見張るが、今回もさらに増加した車の数、バイクの数、そして渋滞に驚いた(写真①)。平均年齢が28才という若い国だけに、消費は旺盛、人口もどんどん増える。現在既に8579万人となっているが、あっと言う間に1億人になるであろう。1人当たりのGDPは1374ドルと中国の5413ドルにはまだ及ばないが、BRICSに続く“VIP”(ベトナム、インドネシア、フィリピン)の一つであり、継続した成長が見込まれている。同時に、渋滞解消のために、地下鉄など都市交通網の整備が急務になるほど、様々な都市問題も顕在化している。

2.他方、貿易赤字と、通貨ドン安、そして、10%を超えるインフレ、と経済運営は中々難しい。金融を引き締めすぎると、ただでさえ高い金利がさらに上がり、景気を滞らせてしまう。リーマン・ショックによって、それまでバブル気味であった住宅投資も下がり続けており、これ以上の引き締めは中々難しい。この住宅価格の下落により、中堅銀行の不良債権も増大しており、その処理も大きな課題となっている。

3.そうした中、外務大臣政務官時代に手がけた「ホアラック・ハイテクパーク」(2008年12月14日活動報告参照)を改めて視察した。その進捗は遅れているものの、ハノイの中心部との間に新たな道路も完成し、また、日産自動車の技術センター()や、ベトナムの大手IT企業・FTPの大学()が立地するなど、着実に進展している。

ヴィン投資計画大臣によれば「立ち退きに一部手こずっている」()との話で、この点は中国とは大きく異なるところだ。同じ共産党独裁政治ではあるが、ベトナムでは、国民の意向を大変尊重するのである。

4.クアン科学技術大臣は、このホアラック・ハイテクパーク(特に、その中の宇宙センター)、原子力発電所プロジェクトなどを担当しておられ、日本との協力関係について、確認し合ったところである()。

いずれにしても、ズン首相は日本との関係を極めて重視しており、日本としてもその期待に応えなければならない。さらなる投資とともに、上記、銀行の不良債権処理などの経験、ノウハウをしっかりと伝えていくことも大事である。今後とも、関係強化に向けて努力したい。