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PKO担当副大臣として南スーダンにおける自衛隊の活動を考える
1.日本は2012年1月から国連の南スーダンにおけるミッション(UNMISS)に自衛隊を派遣しており、現在、410名の自衛隊員が首都ジュバにおいて道路補修など、南スーダンの国づくりを支援するPKO業務を行っています。PKO担当の副大臣として私自身も5月に訪問し、自衛隊の活動を視察しましたが、南スーダン国民の目線で現地住民と一緒に活動を行っており、その活動は南スーダン政府や国連からも高く評価されています。

2.しかし、南スーダンでは12月中旬頃から部族間の争いにより現地の治安情勢が急激に悪化しています。中部のジョングレイ州の州都であるボルでは、国連の韓国隊宿営地において約1万5千人、日本の自衛隊が駐屯している首都ジュバの宿営地でも約1万人の避難民を受け入れています。

3.このような状況において、韓国隊の隊員及び避難民等の生命・身体を保護するために必要な弾薬を早急に確保する必要が生じました。このため、先般、韓国及び国連から日本政府に対して弾薬の譲渡要請がなされ、23日には弾薬1万発を国連に物資協力し、韓国隊に渡したところです。

4.この対応については、韓国隊が保有する小銃に適用可能な弾薬を保有する部隊が日本隊のみである緊急事態であり、また緊急の必要性・人道性が極めて高いことに鑑み、当該弾薬が韓国隊の隊員及び避難民等の生命・身体の保護のためのみに使用されること(それ以外の目的には使用しないという条件付き)、国連南スーダン共和国ミッション以外への移転が厳しく制限されていること(第三国には渡さないという条件付き)を前提としており、武器輸出三原則等の例外扱いとしました。国連の潘基文(バンキムン)事務総長も日本の弾薬提供は適切であったと評価しています。

5.また、25日には、PKOを担当する副大臣として国連南スーダン共和国ミッションの司令部(国連と各国部隊の連絡調整等を行う部門)に交代要員として派遣される自衛官3名の出発式を行ったところです。隊員の方たちには、「治安の悪化によって様々な事態が発生することも想定されるため、自身も含め、日本隊や住民の方々等の安全確保をはかり、緊張感を持って業務に当たってもらいたい。任務をしっかり果たし、無事に帰国されることを祈念する。」といった内容の訓示をしました。

6.これは私の個人的な意見ですが、現在PKO業務に従事する自衛官は、自身を守るためにしか武器を使用できませんが、国際標準である「任務遂行のための武器使用」を認めることや、任務遂行のために携行している武器・弾薬の範囲内で物資協力できるようにすることも法律で明確に位置づけるべきだと考えています。また、他国の軍隊やNGO等の民間人、住民が危険にさらされている場合にその人たちを警護すること(「駆けつけ警護」と呼ばれています)についても認めるべきと考えています。日本国憲法の前文には「われらは、平和を維持・・・しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とあることから、こうした活動も憲法の範囲内で行えると考えています。法改正については、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」における議論の行方を注視しつつ、個人的には、早期に法改正すべきと以前より主張しているところです。

7.なお、日本が南スーダンからの撤収を検討しているとの報道が一部にありますが、そのようなことは決してなく、国連安保理においても約5,500名の増派が承認されたところです。PKO派遣の5原則が満たされない事態に陥らない限り、日本隊は引き続き現地で南スーダンの国づくりを支援してきます。

(ちなみに、南スーダンは産油国で、日本の商社が南スーダンからケニアに抜けるパイプラインを計画しています。)

  • ジュバにおいて道路整備等の活動を行っている日本隊の持田隊長から活動報告を受け、意見交換。
  • 22年間も続いた内戦を経て、多くの道路が未だ舗装されておらず、雨が降ればすぐに水びたしです。
  • 5月に南スーダンを訪問した際には、解任されたマシャール元副大統領と会談。
  • ランザー国連事務総長副特別代表とはPKO活動の状況や南スーダンの情勢について意見交換。自衛隊の活動を高く評価。
  • 自衛隊の施設内に設営されたお風呂で隊員の方々と一緒に汗を流す。
  • 日本隊と国連、その他の派遣国との調整を担当する現地支援調整所を視察し、隊員の方々からブリーフィングを受ける。
  • 国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の司令部に派遣され、国連と日本隊の連絡調整を担当している自衛官の方々と朝食を取りながら懇談。
  • キール大統領とは現地では会えませんでしたが、6月1日に横浜で開催されたアフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)のレセプションで面談。
  • ジュバで道路整備を行う自衛隊。現地住民に技術を伝えながら一緒に作業することで、今後、住民だけでも維持・補修できるように指導しています。
  • ジュバで道路整備を行う自衛隊。現地住民に技術を伝えながら一緒に作業することで、今後、住民だけでも維持・補修できるように指導しています。
  • 自衛隊の宿営地内の道路や施設も自ら整備しますが、その際も現地住民を指導しながらです。