BLOG

アフリカ出張報告(その⑤)ワッド大統領のリーダーシップに脱帽~安定的に成長するセネガル~
1.9月18日(木)朝4時ごろ、セネガルの首都ダカールに到着。真っ暗な中、三角状に街の灯りが広がっている。ここからはフランスの旧植民地。空港でも、フランス語での会話が飛び交う。ホテルも仏系のメリディアンホテル。ここでしばらくの仮眠。
朝11時、日本大使館でダカール滞在のスケジュール、セネガルの経済状況などのブリーフを受ける。ホテルから、ダカールの中心部の入り口あたりに位置する日本大使館までの海岸線の道のり(コルニッシュ通り)は、最近整備されたらしいが、景色も素晴らしい。とても快適である。

2.12時半、ダカール商工会議所の方々のセミナーでスピーチをし、その後、商談会(写真①)。セネガルの民間企業の方々からは、日本のミッションの参加企業約30名に対し、積極的な働きかけや意見交換がなされた()。

3.午後3時、投資促進大規模事業公団(APIX)との意見交換。サイドウ副総裁と3時間にわたって議論。特に、①新空港、新港湾、高速道路などの大型プロジェクトについて、日本企業の参入を検討していくことで合意し、今後、APIXと国土交通省の間で協議を詰めていくこととした。②また、ワン・ストップ・サービスを実現し、企業設立に当たって、これまで1年近くかかっていたものが、2日間で可能になるなど、手続の簡素化、迅速化を図っているとの説明があった。なお、チャン総裁とは、翌日の昼食時にお会いし、今後の関係強化について確認しあった()。

4.夜は、このAPIX主催のレセプション、洒落た素敵なレストランであるが、ここで珍しい光景を目にした。ちょうど今の時期は「ラマダン(断食)」なのである。つまり、日の出から日の入りまでは、一切の食べ物を口にすることができず、水すら飲めないのである。つまり、日の入りの18時半になると食べ物を口にすることができるわけで、APIXの方々は、一斉にまずコーヒーを一杯のみ、パンに飛びついていた()。レセプションの主催者としてのもてなしや会話などは、しばらく関係ないような状態となったが、この暑い気候の中での戒律の遵守は非常に厳しいものであるのだろう。まずは、一日我慢してきた分を食べて、仕事はそれからである。この後は、サイドウ副総裁や日本からこのミッションのために帰国されたサール在京大使ともつっこんだ話が出来た()。

5.9月19日(金)は、9時半から世銀によるセネガル経済の評価についてのプレゼンテーション(報告)を聞き、10時半に、シー・社会基盤・陸上運輸・航空運輸大臣と意見交換。
そして、11時半、いよいよ、ワッド大統領との面談である。ワッド大統領は、全閣僚と商工会議所のメンバー(民間企業)を集められ、我々ミッションの約40名と合わせて100名を超える大会議となった。まず、私からスピーチをし福田総理の親書をお渡しした。その後は、各閣僚から日本への期待・要望が述べられ、日本の民間企業からも、石油・鉱物資源事業への参入希望やセネガルでのビジネスの可能性について意見が示された()。

6.この間、ワッド大統領と私からコメントを挟みながら、約2時間、良い議論が出来た。特に、大統領の提唱・主導による「サイバー小屋」構想(全国各地にIT拠点を作る)、「海岸侵食防止」プロジェクト、アフリカの西の端ダカールから東の端ジブチまでの約7000kmの「緑の長城」計画(高速道路とグリーン・ベルトを作る)などについて、日本政府として、また民間企業として、どのような協力ができるか検討することとなった。

7.その後、15時半に、サール・エネルギー大臣他、石油・電力の関係者と意見交換()。サール大臣から、石油鉱区の空いているブロックについて日本企業の参入への期待が示され、私からは詳細な情報提供を求めた。今後、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との間で早急に詳細を詰めることとなった(ちなみに、20日(土)の早朝にダカールに到着した岩野宏JOGMEC石油開発支援本部プロジェクト企画部長には、セネガル滞在を一日伸ばしてもらい、サール大臣と詰めてもらうこととした)。

8.そのサール大臣との面談の途中(16時過ぎごろ)に、ワッド大統領から連絡が入り、「今からすぐに、大統領の私邸と、その近くにある『サイバー小屋』、『海外侵食防止』の現場などを見に行ってほしい」との伝言が伝えられた。みんな大騒ぎである。大統領の私邸までは2時間かかる。このあとは、鉱山大臣との意見交換も予定されている。セネガルでは、あの鉄鋼メーカーのミッテルが鉄鉱石の鉱山に投資している。日本企業の関心でもある。

9.しかし、大統領の命令は絶対。エネルギー大臣はすぐさま面談を切り上げ、鉱山大臣との面談も再アレンジされることになり、白バイが2台先導して、大統領私邸周辺まで向かうことになった。
これはこれで、ダカール郊外の風景も見ることが出来、有意義な視察となった。さすがに道路はよく整備され、「この雨季の間だけ」という緑の中を走るのは、まるで北海道を走っているかのような感覚になる。田舎のマーケットもあり、サイバー小屋()、海外侵食のプロジェクト、日本型の幼稚園なども見学できた。

10.20日(土)、午前中は、日本の協力で作った日本・セネガル職業訓練センター(CEPT)の視察()。ここは、セネガルのみならず、周辺の西アフリカ諸国が約700名の生徒が、(1)高校レベル、(2)短大レベルの技術を学んでいる。約2500名の卒業生の多くがセネガル経済の最前線を支えているのである。
そして、夜の帰国便(パリ経由)までの間、世界遺産であるゴレ島()とその島内に日本の協力で作った小学校、そしてバオバブの林()、日本も協力している漁業の実際の水揚げの現場()などを視察。大変内容の濃いセネガル訪問であった。そして、夜行便でパリを経由して、日本へ。