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13年ぶりのシンガポール~新婚旅行以来~
1.この夏、久しぶりにシンガポールを訪問。最近ではトランジット(乗り換え)で立ち寄ったことは何度かあるが、街へ出るのは、95年の新婚旅行以来である。その時は、当時在シンガポール日本大使館に勤務、同級生の池坊雅史・由紀(現・お家元)ご夫妻と食事をしたり、あのラッフルズ・ホテルに泊まったりしたいい思い出があるが、実は、シンガポールの後に、どうしても行きたかった隣国マレーシアの松下電器のエアコン工場を二人で見に行ったのである。これが大ひんしゅくで、未だに妻・信子からは、「何で新婚旅行でヘルメットかぶって、工場見学しなきゃならないの?」と言われる始末である。

2.さて、今回は、自民・民主の超党派の「カジノ調査団」の一員として、カジノ誘致を決めたシンガポール政府関係者との意見交換が主な目的であったが、調査団が午後にはマカオに向かったのに対して、私は一人シンガポールに残り、シンガポールの国会議員やシンクタンクの研究者たちと「アジアの未来」について意見交換を行った。

3.シンガポールにおいては、過去2年半の間、「カジノを認めるかどうか」で大議論を行ってきた。街の美しさや治安の良さは他のアジア諸国を圧倒しており、今や日本より住みやすいとの評価もあるくらいである。その社会環境を維持するために「カジノ反対論」も根強かった。しかしながら、観光客の伸び悩みを背景に、カジノを含む大型の「Integrated Resort」(統合リゾート)2ヶ所を決定したのである(いずれも4000億円規模の投資)。
最後には、あの建国の祖とも言うべきリー・クワンユー元首相(現・最高上級相)が「反対しない」と容認姿勢を示して決着したのである。

4.その説明をイスラワン貿易産業担当大臣が話してくれた(写真①)。イスラワン氏はインド系で、私と同い年の若い政治家である。各方面から将来を担う人として期待されており、再会を誓った次第である()。
また、高層ビルから、そのリゾート施設の工事現場を眺めながら、昼食会において、2ヶ所のうちの一ケ所を落札したサンズ社からヒアリング(聞き取り調査)を行った()。サンズ社は、ラスベガス、マカオ等でカジノを展開する世界有数の運営事業者である。
工事現場には、所狭しと無数のクレーンが立ち並び()、2010年の開業目指して工事が進行していた。完成予想モデル()見ると、カジノはわずか3~5%、全体としては、「MICE」(Meetings Incentives for
Convention and Exhibition)のコンセプトのとおり、国際会議や展示会の誘致・開催が主目的で、子供連れの家族も楽しめる企画となっている。
また、サンズ社は、中国においても、中国・米国の通商関係の発展のための「国際会議展示センター」も展開しており、米国企業のビジネス支援も大きな目的の一つなのだろう。

5.午後には、経営コンサルタント・バスカランさん()と、続いて元国会議員のシンガポール外交研究所のテイさん()と、意見交換。アジア各国の政治・経済の動向や、日本の役割等について、語り合った。いずれも日本に対して、アジアのリーダーとして、市場を開放することも含めて、大きな期待を話された。中国、インドの発展で、日本が取り残されることのないよう、しっかり頑張りたい。

6.そして、夕方には、日本・シンガポール友好議員連盟のお二人の国会議員の方々と懇談()。シンガポールは年間の平均所得35000米ドルと日本を上回り、大変住み易い国ではあるが、低所得者層への住宅政策はじめ、悩みはあるようだ。日本の公営住宅の質問などについて質問を受けた。

以上、極めて短時間(約1日)の滞在ではあったが、「民主主義のあり方」、「社会統合の在り方」などを考えさせられたシンガポールであった。
(は中国人街、⑩は高層ビルの立ち並ぶシンガポールの街並み)