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ブラジル・米国他南北アメリカ大陸出張報告(その⑥:ベネズエラ編)~トヨタの工場視察。エンゼルの滝に感動。~
1.ブラジル訪問に先立って、同期の山際大志郎代議士とともに1日だけベネズエラを訪問。何と10年ぶりの現職国会議員のベネズエラ訪問だそうだ。OPECの一員の産油国でありながら、反米色の強いチャベス政権だけに、敬遠されているかもしれないが、トヨタの工場視察を兼ねて訪問した。
2.首都カラカスから東に約1時間のクマナ市にあるトヨタの工場では、現地では高級車であるカローラなどの製造ラインを見せてもらったが(写真①)、ストライキをはじめ労働問題で能力どおりの生産ができないと言う。それでも、石油収入の増大を背景に、新車は数ヶ月待ちの状態だそうである。チャベス政権が貧困層の改善にどれだけ寄与しているか、は賛否の分かれるところだが、いわゆる都市部の中間層は確実に増加しているものと考えられる。
3.そして、トヨタの工場見学のあと、世界遺産である「エンゼルの滝」を見に行った。
想像を絶する迫力である。平原の中に突然に岩山が隆起した台地が数多く現れる()。そして、セスナがその峡谷の合い間をギリギリで飛んで行く。ぶつかるのではないかとの恐怖にびくびくしていると、高さ100mのエンゼルの滝が突然現れる()。一瞬のことであっけにとられるが、操縦士さんが8の字に飛んでくれながら、何度か見せてくれる。台地の上の平原の上を飛び上から見せてくれたり()、低い位置からの飛行であったり()、左右に揺れながら、狭い機内で倒れそうになるが、何度見ても美しさ、雄大さに感激する(思わず、米国留学時代にガールフレンドが、このエンゼルの滝を見に行ったときの写真を見せながら自慢していたことを思い出した)。季節的にも、ちょうど良い時期だったようだ。乾季には、水量が少なく滝を見れないこともあり、一方、雨季には、雨や雲で飛行できないこともあるのである。幸運だった。これで、これまでに訪れた南米の秘境、イグアスの滝(ブラジル)、マチュピチュ遺跡(ペルー)、ガラパゴス諸島(エクアドル)、イースター島(チリ)、マゼラン海峡(アルゼンチン)に一つ加わることになる。次はナスカの地上絵(ペルー)かウユニ塩湖(ボリビア)だろうか?
4.ところで、この台地型峡谷の上の平原では、各々の台地毎に珍しい生態系が発達しているという。例えば、エンゼルの滝のある台地では、カエルが、卵からオタマジャクシになるとそのまま滝に流されてしまうので、進化をしてオタマジャクシにならずにそのままカエルになるそうである。生物の生きる本能・たくましさを感じる。
また、このエンゼルの滝の水は透明に見えるが、実は落葉の養分・タンニンをたくさん含み琥珀色である(。ちなみに、現地の人たちは「ウイスキー(色)」とか「コカ・コーラ(色)」とか呼んでいた)。そして、この琥珀色の水の川がまた次の段に落ちる時、美しい滝を形づくっているのである()。
5.このエンゼルの滝を訪れる行き帰りには、あのオリノコ河を上空から眺めることになる()。南米では、アマゾン河(約6300Km)、ラプラタ河(約4500Km)に次ぐ第三の長い河(約2000Km)で、この流域に膨大な量の超重質油が眠っているのである。私が約20年前に資源エネルギー庁の石油部に勤務していた頃は「オリノコ・タール」と呼ばれ、開発費とガソリンなどへの精製費がかさむため、永遠の「埋蔵金」と思われていたが、今や原油130ドルの時代、開発し、精製しても十分に採算が合うようになり、石油換算全世界の石油消費量の40年分もの埋蔵量が、カナダの「オイルシェール」、「オイルサンド」、「メタンハイドレート」などと並んで、脚光を浴びるようになったのである。
なお、途中、機内から見るベネズエラの海岸線は、カリブ海に面した美しい青、緑の海で、島々は海亀がいたり、ダイビングのポイントであったりする()。
6.夕方には、高校の先輩である下荒地修二大使宅で、米国のエネルギー調査会社のアナリストと、このオリノコ超重質油の活用やベネズエラ石油公社「PDVSA(ペドベサ)」の戦略について、意見交換(。左端は下荒地大使)。今回、首都カラカスの治安が良くないとのことで大使宅に泊めさせて頂いたり(は、「パンチョ」と呼ばれるスラム街。一方、石油収入を活用して、道路は整備され、高層ビルも見受けられる)、大変お世話になったが、チャベス政権の動向と日本とベネズエラの関係についても、いろいろと議論させて頂いた。今後、このオリノコ超重質油の埋蔵量調査など、日本が参入・協力できる可能性を探っていきたいと思う。
7.ちなみに、カラカス市内を回ったり、土産物を買う時間はほとんどなかったが、ベネズエラはカカオの生産が有名だと聞き、チョコレートのお店だけに立ち寄った。なかなかお洒落でモダンなお店で()、あの有名な「ゴ・ディバ」にカカオを供給する代わりに、チョコレートづくりのノウハウを教わったという店で、なかなか美味しいチョコレートであった。残念ながら、この先の旅は長く、しかも暑い南米を訪問するため、チョコレートをお土産に買うことはあきらめたが、娘たちのためにココアを買った。
8.なお、ベネズエラのカカオは、ガーナなどのアフリカ産のカカオより高品質で、95%アフリカ産のカカオに、5%のベネズエラ産カカオを混ぜることによって美味しいチョコレートができるそうである。このため、ベネズエラにはネスレ(キットカット)の工場などチョコレート工場が立地している。カカオの実は樹の幹からそのまま出てくるそうで、ベネズエラでは1~2月が収穫の時期、その頃是非来てみて下さい、と勧められた次第である。
2.首都カラカスから東に約1時間のクマナ市にあるトヨタの工場では、現地では高級車であるカローラなどの製造ラインを見せてもらったが(写真①)、ストライキをはじめ労働問題で能力どおりの生産ができないと言う。それでも、石油収入の増大を背景に、新車は数ヶ月待ちの状態だそうである。チャベス政権が貧困層の改善にどれだけ寄与しているか、は賛否の分かれるところだが、いわゆる都市部の中間層は確実に増加しているものと考えられる。
3.そして、トヨタの工場見学のあと、世界遺産である「エンゼルの滝」を見に行った。
想像を絶する迫力である。平原の中に突然に岩山が隆起した台地が数多く現れる()。そして、セスナがその峡谷の合い間をギリギリで飛んで行く。ぶつかるのではないかとの恐怖にびくびくしていると、高さ100mのエンゼルの滝が突然現れる()。一瞬のことであっけにとられるが、操縦士さんが8の字に飛んでくれながら、何度か見せてくれる。台地の上の平原の上を飛び上から見せてくれたり()、低い位置からの飛行であったり()、左右に揺れながら、狭い機内で倒れそうになるが、何度見ても美しさ、雄大さに感激する(思わず、米国留学時代にガールフレンドが、このエンゼルの滝を見に行ったときの写真を見せながら自慢していたことを思い出した)。季節的にも、ちょうど良い時期だったようだ。乾季には、水量が少なく滝を見れないこともあり、一方、雨季には、雨や雲で飛行できないこともあるのである。幸運だった。これで、これまでに訪れた南米の秘境、イグアスの滝(ブラジル)、マチュピチュ遺跡(ペルー)、ガラパゴス諸島(エクアドル)、イースター島(チリ)、マゼラン海峡(アルゼンチン)に一つ加わることになる。次はナスカの地上絵(ペルー)かウユニ塩湖(ボリビア)だろうか?
4.ところで、この台地型峡谷の上の平原では、各々の台地毎に珍しい生態系が発達しているという。例えば、エンゼルの滝のある台地では、カエルが、卵からオタマジャクシになるとそのまま滝に流されてしまうので、進化をしてオタマジャクシにならずにそのままカエルになるそうである。生物の生きる本能・たくましさを感じる。
また、このエンゼルの滝の水は透明に見えるが、実は落葉の養分・タンニンをたくさん含み琥珀色である(。ちなみに、現地の人たちは「ウイスキー(色)」とか「コカ・コーラ(色)」とか呼んでいた)。そして、この琥珀色の水の川がまた次の段に落ちる時、美しい滝を形づくっているのである()。
5.このエンゼルの滝を訪れる行き帰りには、あのオリノコ河を上空から眺めることになる()。南米では、アマゾン河(約6300Km)、ラプラタ河(約4500Km)に次ぐ第三の長い河(約2000Km)で、この流域に膨大な量の超重質油が眠っているのである。私が約20年前に資源エネルギー庁の石油部に勤務していた頃は「オリノコ・タール」と呼ばれ、開発費とガソリンなどへの精製費がかさむため、永遠の「埋蔵金」と思われていたが、今や原油130ドルの時代、開発し、精製しても十分に採算が合うようになり、石油換算全世界の石油消費量の40年分もの埋蔵量が、カナダの「オイルシェール」、「オイルサンド」、「メタンハイドレート」などと並んで、脚光を浴びるようになったのである。
なお、途中、機内から見るベネズエラの海岸線は、カリブ海に面した美しい青、緑の海で、島々は海亀がいたり、ダイビングのポイントであったりする()。
6.夕方には、高校の先輩である下荒地修二大使宅で、米国のエネルギー調査会社のアナリストと、このオリノコ超重質油の活用やベネズエラ石油公社「PDVSA(ペドベサ)」の戦略について、意見交換(。左端は下荒地大使)。今回、首都カラカスの治安が良くないとのことで大使宅に泊めさせて頂いたり(は、「パンチョ」と呼ばれるスラム街。一方、石油収入を活用して、道路は整備され、高層ビルも見受けられる)、大変お世話になったが、チャベス政権の動向と日本とベネズエラの関係についても、いろいろと議論させて頂いた。今後、このオリノコ超重質油の埋蔵量調査など、日本が参入・協力できる可能性を探っていきたいと思う。
7.ちなみに、カラカス市内を回ったり、土産物を買う時間はほとんどなかったが、ベネズエラはカカオの生産が有名だと聞き、チョコレートのお店だけに立ち寄った。なかなかお洒落でモダンなお店で()、あの有名な「ゴ・ディバ」にカカオを供給する代わりに、チョコレートづくりのノウハウを教わったという店で、なかなか美味しいチョコレートであった。残念ながら、この先の旅は長く、しかも暑い南米を訪問するため、チョコレートをお土産に買うことはあきらめたが、娘たちのためにココアを買った。
8.なお、ベネズエラのカカオは、ガーナなどのアフリカ産のカカオより高品質で、95%アフリカ産のカカオに、5%のベネズエラ産カカオを混ぜることによって美味しいチョコレートができるそうである。このため、ベネズエラにはネスレ(キットカット)の工場などチョコレート工場が立地している。カカオの実は樹の幹からそのまま出てくるそうで、ベネズエラでは1~2月が収穫の時期、その頃是非来てみて下さい、と勧められた次第である。