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GW出張報告(その6:サウジ・アラビア編)
1.ヨルダン・アンマン市から、ロイヤル・ヨルダン航空で約2時間。6日の深夜一時、サウジの西海岸の大都市ジェッダに着いた。もう時差も何もあったもんじゃないが、こちらは着任早々の総領事が出迎えに来てくれた。ジェッダは、聖地メッカまで約70キロ、人口約250万人の大都市である。紅海に面し、リゾート地としても有名であり、それこそダイビングの“メッカ”である。実は、私は、この紅海では、14年前に、エジプト側のリゾート地で有名な「シャルム・エル・シェイク」で泊まり、ダイビングを楽しんだ。当時は、あのおでこの出た、ユニークな表情の「ナポレオン・フィッシュ」も数多く見られ、水中で殻付きのゆで卵をあげると、口に含み、あとから殻だけをシュパッと吐き出す仕草を楽しんだものである。しかし、現地の方々の話によると、今やナポレオン・フィッシュはほとんど見られないとのことである。ここでも、何かの変動が起きているのであろう。

2.ホテルで仮眠をし、翌朝は8:30からスタートした。珍しいらくだの取引市場を見ながら、地元淡路島の津名の家畜市場を思い出した。まさによく似た光景である。そして、今回の中東出張のもう一つの目的であった、SJAHI(サウジ・日本自動車技術高等研修所)の視察である。日本と産油国の関係は、ややもすると石油の取引だけになりがちである。商売だけでは、重層な信頼関係は生まれてこない。産業発展を遂げた日本の経験や技術を伝えていくことこそ、日本しかできない協力である。このSJAHIは、日本の自動車メーカー9社が中心となり、資金と技術を提供する形で進められ、両国政府がそれをサポートするという、まさにサウジ・日本の協力のシンボル的事業である。もちろん、年間200人の学生の受け入れでは、先般決定した住友化学の1兆円もの投資に比べれば、小さな話ではあるが、この国の最大の問題は、若者の雇用の確保であり、石油以外の分野での技術者の養成である。まさに、人材の育成こそが喫緊の課題なのである(どこかの国も同じような話があるが・・・)。

3.学生たちが目をぱちぱちさせながら、授業を受けている姿、実習をこなしている光景は、本当に印象的であった。一人の講師の方がおっしゃっておられた。「いろいろいい加減なところもあるけど、目が輝いているんですよね。」

4.いくつかの課題もある。1)2年間のコースを終えた若者たちが、さらに上の技術取得を目指すときに、上級のコースを開設できないか、2)年間200人の定員をもっと増やせないか、3)自動車以外の分野でもコースを開けないか(なお、今年度から、プラスチックの加工技術の施設も開校する予定である)、4)授業は英語で行っているが、日本語の教育にもつなげられないか、といったことである。

5.受け入れ人数を増やすには、それだけの指導者(講師)の確保も必要である。大変好評な「シニア・ボランテイア」の仕組みももっと拡充できないものか、とも思う。今回、大変素晴らしい、官民連携の取組みを見せてもらった。第一歩としては、高く評価できるものである。是非更なるステップに向けてがんばってまいりたい。
  • ラクダ取引の市場で。
  • サウジのジェッダにある「サウジ・日本自動車技術高等研修所」にて、校長のサリム・エッチ・アル・アスマリーさんと。とてもきれいな英語をしゃべります。
  • 実際に日本車を使っての技術研修。
  • パソコン研修もあります。