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インド出張報告(その5)<日本びいきの州首相の西ベンガル州・カルカッタ>
1.アンダマン諸島から、西ベンガル州のカルカッタに戻った。そして空港から街中に入る途中、ITパークに寄り、インド国内の四大ITメーカーの一つ「ウィプロ社」と米国ナスダックに上場しているソフトウェア・ベンチャー企業の「ネットグル社」を視察、意見交換を行った。

2.ウィプロ社は、日本企業のソフト発注の特徴(開発の途中で仕様が変わる)もよく理解しつつ、日本からのさらなる受注を目指しているし、従業員600人のネットグル社は、ソフトウェア開発やアニメーション製作の面で、幅広く日本企業との連携・提携を求めていた。チェンナイの企業同様、日本のIT企業との連携の可能性はかなり大きい印象を受けた。

3.そして、何よりこの州のバットチャルジー首相の日本びいきには感銘を受けた。面談は二時間も及び、日本からの投資拡大の方策はもちろん、カルカッタ及びその周辺の様々なプロジェクトについての意見交換を行った。主なポイントは次のとおり。
 (あの東京裁判で日本の立場を理解してくれたパール判事、インド独立の際、日本が助けたキャンドラ・ボースはいずれも、西ベンガル州の出身です。)

①先日の小泉・シン共同声明でデリルカッタ間の貨物線整備の検討が盛り込まれたが、これを活かすためにもカルカッタ内及びその周辺の交通システム整備が緊急の課題である。日本のODAにより東西の地下鉄が整備されていることに感謝しつつ、さらに南北の地下鉄ラインも将来整備したい。ただ、現在のプロジェクトの州の優先順位は(1)カルカッタ中心部の渋滞解消のため、モノレール、HSST(愛知博で運転中)などの循環型都市交通システム、(2)カルカッタから様々な産業の積み出し港であるハルディア港へつながるライチャク・ククハテティ橋の整備、(3)この南北の地下鉄、の順位であり、順次ODAの申請を行いたい。

②このうち、(2)のライチャク・ククハテティ橋については、デリーの「スズキ」とともにインドで成功している日本企業の一つ「三菱化学」の工場のすぐ近くであり、同社のさらなる事業拡大にもつながる可能性があることから「是非早期に実現したい」旨、私からも申し上げたが、首相より事前調査を行ったJICAの環境基準が「極めて厳しい」との指摘も受けた。幅3kmの川まさしく橋建設予定地もこの目で確認してきた。橋がかかれば物流面の効果も大きく、実現に向けてJICAともしっかり意見交換したいと思う。

③また、首相より(a)カルカッタの南に5万床の「病院コンプレックス」を整備し、バングラディッシュなどの周辺国からも患者を受け入れ治療できるようにしたい。(b)また、シンガポール企業の協力を得て、ロジスティックセンターを整備したい、旨の提案が表明された。

④これに対して、私からは、(a)私の地元の神戸市も「先端医療産業都市」として、先端的な臓器移植をはじめ、新薬開発のバイオベンチャーも集積し、是非、カルカッタとの交流の橋わたしをしたい。(b)神戸は長年、世界の貿易の拠点として位置づけられてきた。川崎汽船、商船三井をはじめ日本企業にもロジスティックスについての様々なノウハウが蓄積されている。是非お手伝いしたい。(c)私が客員教授を務める金沢工業大学(KIT)は、米国MITとも提携しデータ・資料交流などを実施しており、こちら西ベンガル州のクハアグプルにあるインド工科大学(IIT・インド国内7校のうちの一つ)との交流を考えてみたい。データ・資料提携の他、留学生の交換なども有意義だと思う、と申し上げた。首相はこれらの提案に好意的であり、私も帰国後、早速に各方面に働きかけを行いたいと思う。