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インド出張報告(その2)<世界を代表するIT都市・バンガロール>
1.5/2(月)夜、IT都市バンガロールに入った。日本企業の方々が歓迎してくれて、領事館主催の夕食会を開いてくれた。トヨタ、横河電機(創業家の横河家は私と同じ明石市二見町の出身で、今は公園になっている(「横河二見公園」)、サカタのタネ、コマツ、牧野フライス、日清食品の方々からバンガロールでの活動状況やご意見を伺った。
2.現在インド全体で8000~9000社あるIT企業のうち約1400社がバンガローにあると言われているが、バンガロールがIT都市として発展した背景としては、以下の点があげられる。
①パキスタン・中国から遠い、という理由で、政府が軍事関連産業を集めたこと。
②インド科学大学(IISC)が存在し、研究・教育水準が高く人材も豊富であること。
③1984年に半導体のテキサス・インストルメント(TI)が進出し、それをきっかけとして 米国の企業が次々と進出したこと。
④900mの高地のため、気候が温暖で過ごしやすいこと。
⑤コンピュータの「2000年問題」がインドのIT企業にとって「特需」となったこと。
3.翌日5/3には、まずトヨタの工場を見学した。トヨタはバンガロール中心部から車で 約40分のところに工場を建設している。そこに行くまで、道路も十分に整備されておらず、また大渋滞もあり、工場までたどり着くのに一苦労であったが、近くにゴルフ場もあ り、郊外のため静かで快適のようであった。トヨタの方々との意見交換の主なポイントは次のとおり。
①現在5万台生産(インド国内のシェア4.5%)、2260人の従業員、平均年齢26才。
②ワーカーの平均賃金は約1万ルピー(2.5万円)/月。
③土地は4分の1しか使っておらず、将来40万生産体制を目指している。
④部品は70%現地の日系合弁企業から、他のものも欧州系合弁企業などから調達。現在、エンジンなどの枢要部品のみ日本、タイから輸入。
⑤インド国内での生産、部品調達も進めるが、少量生産の車種の部品については、将来も日本から輸入せざるを得ないため、日印のFTAは大変意味がある。
⑥インドにも部品メーカーは多い。日本の部品企業との合弁・連携はまだまだ可能性 がある。
⑦キルロスカ社との合弁はこれからも続けていくつもり(現在トヨタ99%、キ社1%)。 やはり、地場の企業が株主であることはいろんな意味で心強い。
4.次に、インド国内のIT企業の最大手のひとつ「インフォシス社」を訪問した。 (ここは2000年に森総理(当時)が視察したところでもある。) インフォシスは、バンガロールのソフトウェア産業従事者約11万人のうち、約1万人を雇 用している最大手の一つで、施設内は、まるで米国の大学の様な雰囲気で(現に彼らは 「キャンパス」と呼んでいる)、多くのファースト・フード店、ゴルフのグリーンなども用意さ れている。意見交換の中で気付いた点は次のとおり。
①81年に7人で1人1万ルピー(=2.5万円)ずつ出し合って設立。99年米国ナスダック上場。
②現在は売上約1500億円、利益400億円の企業。全世界に434社のクライアント。
③70%は米国企業向けサービス、欧州20%、アジアは10%程度。
④インドにはソフトウエア輸出推進税制があり、建物毎に税制の優遇措置(10年間)がある。
⑤従業員全世界38000人のうち、500人は日本企業向け仕事をしている。クライアン トは、ひまわり証券、あいざわ証券、アクサ損保、東芝など。200人は日本に行って働いている。日本語の専門家も養成している。
⑥米国と日本ではソフトウエアをつくる仕事のやり方(デリバリー・モデル)全く違う。 米国は、仕様が最初からはっきりしているが、日本の場合途中で変わることも多 いので、たくさんのプロトタイプを用意する。
⑦(日本企業からの受注を増やすために、日本のソフトウエア企業と連携してはどう か、との私の質問に対し)連携はしない、買収する。現にオーストラリアでは300 人の企業を買収し、オーストラリア国内の受注を増やしている。
5.続いて、システム開発を行っている「横河電機」を訪問した。
①製油所、電力などのプラントにおける制御・計測システムを開発。現在従業員615 人、売上68億円。
②当初、インド国内をターゲットにしたため、エアコンメーカーである地元ブルー・スター社と合弁でスタート。1989年に上場し15年経って、人材も育ち現在は6人のイ ンド人が副社長に就任しており、100%出資に切り変えた。
③日本国内の素材産業も制御システムの置き換え需要が急増しており、日本向けも行い始めた。
④人件費は大卒で1万ルピー(=2.5万円/月)。「ソフトウェア企業」、「IT企業」と言 うと、これが4~5万ルピーになるから、人件費を抑えるために未だに「製造業」と いうことにしている。
⑤バンガロールは、人材が豊富で、工科系の大卒が40万人いる。
⑥インド南部の言語は日本語に近い。タミール語では「I school to go」と、語順が日本語と同じ。インド人は、論理的で向上心も強いが、一方で独りよがり、協調性が低い面もある。
2.現在インド全体で8000~9000社あるIT企業のうち約1400社がバンガローにあると言われているが、バンガロールがIT都市として発展した背景としては、以下の点があげられる。
①パキスタン・中国から遠い、という理由で、政府が軍事関連産業を集めたこと。
②インド科学大学(IISC)が存在し、研究・教育水準が高く人材も豊富であること。
③1984年に半導体のテキサス・インストルメント(TI)が進出し、それをきっかけとして 米国の企業が次々と進出したこと。
④900mの高地のため、気候が温暖で過ごしやすいこと。
⑤コンピュータの「2000年問題」がインドのIT企業にとって「特需」となったこと。
3.翌日5/3には、まずトヨタの工場を見学した。トヨタはバンガロール中心部から車で 約40分のところに工場を建設している。そこに行くまで、道路も十分に整備されておらず、また大渋滞もあり、工場までたどり着くのに一苦労であったが、近くにゴルフ場もあ り、郊外のため静かで快適のようであった。トヨタの方々との意見交換の主なポイントは次のとおり。
①現在5万台生産(インド国内のシェア4.5%)、2260人の従業員、平均年齢26才。
②ワーカーの平均賃金は約1万ルピー(2.5万円)/月。
③土地は4分の1しか使っておらず、将来40万生産体制を目指している。
④部品は70%現地の日系合弁企業から、他のものも欧州系合弁企業などから調達。現在、エンジンなどの枢要部品のみ日本、タイから輸入。
⑤インド国内での生産、部品調達も進めるが、少量生産の車種の部品については、将来も日本から輸入せざるを得ないため、日印のFTAは大変意味がある。
⑥インドにも部品メーカーは多い。日本の部品企業との合弁・連携はまだまだ可能性 がある。
⑦キルロスカ社との合弁はこれからも続けていくつもり(現在トヨタ99%、キ社1%)。 やはり、地場の企業が株主であることはいろんな意味で心強い。
4.次に、インド国内のIT企業の最大手のひとつ「インフォシス社」を訪問した。 (ここは2000年に森総理(当時)が視察したところでもある。) インフォシスは、バンガロールのソフトウェア産業従事者約11万人のうち、約1万人を雇 用している最大手の一つで、施設内は、まるで米国の大学の様な雰囲気で(現に彼らは 「キャンパス」と呼んでいる)、多くのファースト・フード店、ゴルフのグリーンなども用意さ れている。意見交換の中で気付いた点は次のとおり。
①81年に7人で1人1万ルピー(=2.5万円)ずつ出し合って設立。99年米国ナスダック上場。
②現在は売上約1500億円、利益400億円の企業。全世界に434社のクライアント。
③70%は米国企業向けサービス、欧州20%、アジアは10%程度。
④インドにはソフトウエア輸出推進税制があり、建物毎に税制の優遇措置(10年間)がある。
⑤従業員全世界38000人のうち、500人は日本企業向け仕事をしている。クライアン トは、ひまわり証券、あいざわ証券、アクサ損保、東芝など。200人は日本に行って働いている。日本語の専門家も養成している。
⑥米国と日本ではソフトウエアをつくる仕事のやり方(デリバリー・モデル)全く違う。 米国は、仕様が最初からはっきりしているが、日本の場合途中で変わることも多 いので、たくさんのプロトタイプを用意する。
⑦(日本企業からの受注を増やすために、日本のソフトウエア企業と連携してはどう か、との私の質問に対し)連携はしない、買収する。現にオーストラリアでは300 人の企業を買収し、オーストラリア国内の受注を増やしている。
5.続いて、システム開発を行っている「横河電機」を訪問した。
①製油所、電力などのプラントにおける制御・計測システムを開発。現在従業員615 人、売上68億円。
②当初、インド国内をターゲットにしたため、エアコンメーカーである地元ブルー・スター社と合弁でスタート。1989年に上場し15年経って、人材も育ち現在は6人のイ ンド人が副社長に就任しており、100%出資に切り変えた。
③日本国内の素材産業も制御システムの置き換え需要が急増しており、日本向けも行い始めた。
④人件費は大卒で1万ルピー(=2.5万円/月)。「ソフトウェア企業」、「IT企業」と言 うと、これが4~5万ルピーになるから、人件費を抑えるために未だに「製造業」と いうことにしている。
⑤バンガロールは、人材が豊富で、工科系の大卒が40万人いる。
⑥インド南部の言語は日本語に近い。タミール語では「I school to go」と、語順が日本語と同じ。インド人は、論理的で向上心も強いが、一方で独りよがり、協調性が低い面もある。