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米国・アセアン・インドとの関係を強化すべき!「ローリスク・ミドルリターン」の国へ。
1. 日本の危機である。言わば、中国側の圧力に屈して、突然無条件に船長を釈放した。これには、我々もびっくりしたが、中国側も驚いたに違いない。中国は「勝った」と思っているだろう。中国国内の報道もほとんどなくなっているという。「勝った」のだから、もう騒ぐ必要はない。沈静化しようとしているのだろう。

2. しかし、日本側はそうはいかない。尖閣諸島は日本の領土であることを国内外に説明すると同時に、例えば尖閣諸島への海自、海保などの人員の配置、予算措置などを実行することが大事である。

3. あわせて、米国、インド、アセアンといった国との連携を強化することが大事である。特にアメリカとの関係である。普天間を巡るゴタゴタ、混乱は、米国の信頼を失った。中国はじめ周りの国々は、この日米関係の亀裂をよく見ている。まずは、日米の関係強化が基本である。私は、例えば同盟国なのだから日米FTAはあえて必要ないと思っていたが、場合によってはこうしたことも考えなければならないほど、日本と米国の関係は脆弱化しているのである。拙著「新(ネオ)・ハイブリット国家 日本の活路」でも書いたが、本来今年は、日米安保50周年の年であり、宇宙開発やサイバーテロ対策などについても共同で対応し、同盟関係を強化すべき年だったのである。しかし、普天間の混乱のために何も動いていない。

4. さらに、アセアン諸国との連携強化は急がれる。南沙諸島を巡り、中国と争っているベトナムやフィリピンなどは、日本の今回の処分にがっかりしているに違いない。せっかく米国と一緒に中国をけん制する動きが起こっているのに、日本ははしごをはずすような行動である。日本は頼りにならない、と思われても仕方ない。しかも、米国は、アジアへの輸出拡大を課題とし、アセアンとの関係を強化しようとしている。ところが、実際のところ、米国はアセアンには詳しくない。ワシントンの著名なシンクタンクCSISも、最近になってようやく「アセアン・デスク」ができたばかりである。本来なら、日本はアセアンとは歴史的にも特別の関係にあり、米国の足らないところを補いつつ、共に、関係を強化できるはずなのである。いわば、米国とアセアンの橋渡し役として、日本は存在感を発揮できるはずなのである。

5. もちろん、インドも極めて重要な国である。私は、この7年間で10回以上訪問しており、今夏も2度訪問している。最近ようやく、日本からインドへの投資が増えているが、もっと日印間の交流を増やさなければならない。安倍政権時代、日米印豪の4カ国の関係強化に、私自身、党の立場から手伝ったが、今こそこの枠組みや日・米・印・アセアンとの枠組みを構築・強化すべきなのである。

6. こうしたことを実行していくためにも、まずは日本の魅力を増すとともに、長期的な外交戦略を練り上げることが大切である。安定した成熟国でありながら、最先端の技術開発をリードする、言わば「ローリスク・ミドルリターン」の国として、世界にもっとアピールできないものか。その上で、その場しのぎの、場当たり的な対処ではなく、アジアで、そして世界で存在感を持つ外交を示せないものか。一日も早く政権奪取し、こうした分野の先頭に立ってがんばりたい。そんなことを考えながら、今日は、世界銀行イウェアラ専務理事との意見交換を行い(写真)、予算委員会の質疑を見守った次第である。
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