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「政局優先」の民主党の対応 ~同意人事を巡って~
1.日銀の総裁・副総裁の同意人事を巡っては、民主党の不同意により、しばらく空席が続き(現在も、副総裁一人は空席のまま)混乱したことは記憶に新しい。

2.そして、今回また、日銀の政策委員会審議委員についての池尾和人慶応大学教授の同意人事を巡って、民主党の対応は迷走したのである。当初、池尾教授の就任については、党内で同意すべしとの声が多かったにもかかわらず、国民新党が反対の意向を示したことから、先送りすることとして、本日(6/12)の衆議院での同意人事採決にも欠席したのである。つまり、民主党は、自分たちの“政策を曲げて”野党間の協力を優先、即ち“政局”を優先したのである。この日銀審議委員の不在による、国民生活や経済への影響を無視し、“政局”を優先したわけである。

3.衆参ねじれ国会の状況では、こうした民主党の行動により、同意人事が振り回されてしまう。そこで、私が事務局長として、党改革実行本部・国会改革小委員会において、同意人事の在り方についての中間提言をとりまとめた。
即ち、第一に、すべての同意人事について、「職務継続規定」を導入することである。つまり、新任の人が決まるまでの間、混乱を避けるために、前任者が職務を継続する規定を置くのである。36機関232人の同意人事のうち、既に91人については、この職務継続規定が置かれているが、残念ながら日銀総裁をはじめ141人の同意人事については、不在が続く可能性がある。実は、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)も同様の職務継続規定が置かれているし、今国会で、国土交通省設置法を改定し、「航空・鉄道事故調査委員会」(改め「運輸安全委員会」)の委員の同意人事について、民主党も賛成して、この「職務継続規定」を導入したところである。

4.野党の横暴により、人事が停滞することのないよう、是非ともこの「職務継続規定」を導入したいと思う。そして、その上で、(第二に)すべての同意人事について、国会の同意が必要なのか精査を進めたいと思う。確かに「公害健康被害補償不服審査会」のように紛争を処理するために中立性が強く求められるものもあるが、「関税等不服審査会」や「農林漁業保険審査会」も紛争処理の機関であるが、その委員は同意人事の対象としてなっていない。どういう違いなのか整理をしてみたい。また「総合科学技術会議」委員などは、政府の政策アドバイスが仕事で、本来行政の仕事の範疇であり、いわば委員の「ハク付け」「権威づけ」とも言うべき観点から、国会の同意を必要としているものと思われるが、この型の同意人事についても、どこまで国会の同意が必要なのか、よく整理してみたい。