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「ガソリン税、一般財源化を前提に、再可決」
1.本日(4月30日)、ガソリン税の暫定税率約25円の引き上げなど税制改正法案について、衆議院本会議において、再議決を行った。地元の経済状況や生活実態などを考えると、極めて心苦しいものがあったが、以下のような考え方に立ち、政治家として判断したものである(やや長文になるが、是非ご一読頂き、ご理解頂ければ幸いである)。
2.まず、この本会議の開会に際し、民主党は、河野洋平議長をいわば暴力により缶ヅメにし、本会議を開催できないように実力行使を行った。言語道断である。反対なら反対で、堂々と国会の場で議論を戦わせるのが、我々国会議員の役割ではないか。国民生活にかかわる重大な法案を審議する本会議を欠席し、議員としての責任を放棄したことも含め、極めて遺憾な行為といわざるを得ない。
なお、本税制改正法案については、2月29日に衆議院で可決され、参議院に送付されたが、それから60日以上たっても、参議院において結論が出なかったため、憲法59条4項の規定に従い、みなし否決の決議を行い、再可決を行ったものである。
3.さて、今国会では、税制改正法案について、ガソリン税等の暫定税率の是非を巡り与野党で激しい議論がなされた。民主党は、「暫定税率を廃止し、その上で、国債の発行をせずに、地方には従前通りの全額の交付金や補助金を交付した上で、必要な道路は整備し、さらに、道路整備に余った財源は社会保障等の一般財源に充当する」と主張している。しかしながら、暫定税率を廃止した上で、このような主張が同時に達成されるとは考えられない。私たち与党が再三「代替財源を含め全体像を示して欲しい」と要請したにもかかわらず、野党からは責任ある説明は示されなかったのである。
4.仮に、約25円の暫定税率を上げないことにすると、国全体で年間2.6兆円もの歳入欠陥が生じ、道路整備だけでなく、医療や教育などにもしわ寄せが生じかねない。特に、ただでさえ厳しい状態の地方財政にはかりしれない影響を与えるのであり、さらに、本年秋より計画している明石大橋など高速料金の大幅値下げもできなくなるのである。
このことは、地元の井戸知事はじめ各市長、県議会・市議会からはもちろん、全国の都道府県・市町村から、一致して「暫定税率の廃止に反対する」声として上がってきている。地方では、暫定税率の維持を前提とした予算が既に組まれており、例えば、兵庫県では約310億円、私の地元4市でも、合計約30億円の歳入欠陥となるのである。この暫定税率の廃止は想定外で、道路事業のみならず、福祉や教育といった国民生活に密接に関係する事業についても、既に影響が及んでいるのである。このままでは、地域の雇用や経済に取り返しのつかない打撃を与えることになる。景気が踊り場にあり、特に地方経済が厳しい状況にあるなかで、一日も早く地方財政を正常に戻す必要があると考える。
5.また、本日の再議決にあたって、私たち与党は、3月27日の福田総理の提案、そして、これを受けた4月11日の政府与党決定に示された考え方を着実に実施することを、改めて国民の皆様に約束したいと思う。即ち、道路関係公益法人や道路整備特別会計関連支出の無駄を徹底的に排除し、道路計画を見直すことを皆さんに約束する。また、道路特定財源制度は今年中に廃止し、来年21年度から一般財源化する。一昨日には、与党の党首間においても、この方針が確認されるとともに、こうした国民への約束を確実に実現するために与党の協議会の設置について合意したところであり、また、「若手の会」でも、この点を再確認したところである。
6.特に、道路特定財源の改革については、「特定財源・特別会計」であるがゆえに国会のチェックが入りにくいことが最大の問題である。職員の旅行代・高額のタクシー代や野球のグローブ代に流用されないよう、常にチェックすることが大事で、そのためにも「一般財源化」することが必要である。また、今後10年間にわたって「59兆円」の道路計画も、真摯に見直し、地元で言えば国道2号線の拡幅など真に必要ある道路に限り、少子高齢化が急速に進む中、今後の予算の重点は「医療」や「福祉」、そして「少子化対策」などに移していかざるを得ない。この「一般財源化」こそが、いわゆる「族議員」に阻まれ、小泉総理も成し遂げられなかった、「改革」の大きな課題なのである。
7.そして、民主党の岡田克也元代表や前原誠司前代表が「暫定税率より『一般財源化』が改革の本丸」という趣旨を発言しておられるとおり、同じような思いの「心ある若手」は民主党内にもいる。もちろん、筋論から言えば、車に乗る人だけが負担し(特に地方で消費量の多いガソリンの税金で)、日本全国(特に都市部)の年金や医療にも使えるようにする「一般財源化」は「受益と負担」の関係からは、筋の通りにくい話で、本来なら医療や年金の支出は、国民が広く薄く負担する消費税などを充てるのが正論ではあるが、国の将来を見据えて、このような税制の抜本的な議論が与野党間で行われないことが問題なのである。
8.確かに国民にとって税負担の軽減がありがたいのはもっともである。私自身、地元の経済状況を考えると辛いものがある。しかしながら、国の在り方を考え、将来世代に先送りすることなく、国民の負担の在り方を考えることは、責任政党の果たすべき重大な役割であり、将来に向けた明確な展望を示すことによって、国民に真の安心感をもってもらうことが政治の原点であると思う。このため、国民の皆様に、引き続きどうしても必要な負担をお願いすることもまた政治の責任であると考える次第である。
9.さらに、この「ねじれ国会」の状況で、政治不信がこれまでになく高まっている今こそ、今回のような国民生活の混乱を回避するためにも、党派を超えて、それぞれの党利党略を超えて、「改革」を目指す若手改革派が結集すべき時であると考えている。これまでに、私も自分自身が中心となって自民・公明・民主の超党派の議員立法で「海洋基本法」や「地理空間情報活用推進基本法」(米国のGPSを補完する我が国独自の衛星を打ち上げ、地図情報を整備し、防災対策や一人住まいのお年寄りへの行政サービスを充実させるもの)を成立させてきたが、最近では、超党派の「せんたく議連」(政治の「洗濯」と「選択」)や「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の立ち上げに参画するなど、常に、与野党問わず「改革」を志向する仲間と信頼関係を築いてきているところである。
何としても今の政治状況を変えたい一心であるが、いわば政界再編の胎動が始まっているのである。バラマキで結果的に借金まみれとなる(いい顔)政治ではなくて、本当に皆さんの税金を一円たりとも無駄にせず、できることならこれ以上皆さんの負担を増やさない、真の「改革」を実行できる政治をつくりあげるべく、全力でがんばりたいと思う。
10.今回の再議決に際して、地元の多くの方々からお叱りや、「今後応援しないぞ」といった言葉も頂いたが、以上の考えに立ち判断した次第である。この判断・決意を是非ともご理解頂ければ幸いに思う。私たちの考え方に近い民主党の「心ある」若手もいるのである。今回のような「実力行使」ではなく、お互いに真摯に議論を重ね、同じ考えの仲間が党派を超えて連携することにより、一刻も早く皆様に信頼を頂ける政治を実現したいと、心に誓っている。どうか引き続きのご指導ご支援そして叱咤を心からお願いする次第である。
2.まず、この本会議の開会に際し、民主党は、河野洋平議長をいわば暴力により缶ヅメにし、本会議を開催できないように実力行使を行った。言語道断である。反対なら反対で、堂々と国会の場で議論を戦わせるのが、我々国会議員の役割ではないか。国民生活にかかわる重大な法案を審議する本会議を欠席し、議員としての責任を放棄したことも含め、極めて遺憾な行為といわざるを得ない。
なお、本税制改正法案については、2月29日に衆議院で可決され、参議院に送付されたが、それから60日以上たっても、参議院において結論が出なかったため、憲法59条4項の規定に従い、みなし否決の決議を行い、再可決を行ったものである。
3.さて、今国会では、税制改正法案について、ガソリン税等の暫定税率の是非を巡り与野党で激しい議論がなされた。民主党は、「暫定税率を廃止し、その上で、国債の発行をせずに、地方には従前通りの全額の交付金や補助金を交付した上で、必要な道路は整備し、さらに、道路整備に余った財源は社会保障等の一般財源に充当する」と主張している。しかしながら、暫定税率を廃止した上で、このような主張が同時に達成されるとは考えられない。私たち与党が再三「代替財源を含め全体像を示して欲しい」と要請したにもかかわらず、野党からは責任ある説明は示されなかったのである。
4.仮に、約25円の暫定税率を上げないことにすると、国全体で年間2.6兆円もの歳入欠陥が生じ、道路整備だけでなく、医療や教育などにもしわ寄せが生じかねない。特に、ただでさえ厳しい状態の地方財政にはかりしれない影響を与えるのであり、さらに、本年秋より計画している明石大橋など高速料金の大幅値下げもできなくなるのである。
このことは、地元の井戸知事はじめ各市長、県議会・市議会からはもちろん、全国の都道府県・市町村から、一致して「暫定税率の廃止に反対する」声として上がってきている。地方では、暫定税率の維持を前提とした予算が既に組まれており、例えば、兵庫県では約310億円、私の地元4市でも、合計約30億円の歳入欠陥となるのである。この暫定税率の廃止は想定外で、道路事業のみならず、福祉や教育といった国民生活に密接に関係する事業についても、既に影響が及んでいるのである。このままでは、地域の雇用や経済に取り返しのつかない打撃を与えることになる。景気が踊り場にあり、特に地方経済が厳しい状況にあるなかで、一日も早く地方財政を正常に戻す必要があると考える。
5.また、本日の再議決にあたって、私たち与党は、3月27日の福田総理の提案、そして、これを受けた4月11日の政府与党決定に示された考え方を着実に実施することを、改めて国民の皆様に約束したいと思う。即ち、道路関係公益法人や道路整備特別会計関連支出の無駄を徹底的に排除し、道路計画を見直すことを皆さんに約束する。また、道路特定財源制度は今年中に廃止し、来年21年度から一般財源化する。一昨日には、与党の党首間においても、この方針が確認されるとともに、こうした国民への約束を確実に実現するために与党の協議会の設置について合意したところであり、また、「若手の会」でも、この点を再確認したところである。
6.特に、道路特定財源の改革については、「特定財源・特別会計」であるがゆえに国会のチェックが入りにくいことが最大の問題である。職員の旅行代・高額のタクシー代や野球のグローブ代に流用されないよう、常にチェックすることが大事で、そのためにも「一般財源化」することが必要である。また、今後10年間にわたって「59兆円」の道路計画も、真摯に見直し、地元で言えば国道2号線の拡幅など真に必要ある道路に限り、少子高齢化が急速に進む中、今後の予算の重点は「医療」や「福祉」、そして「少子化対策」などに移していかざるを得ない。この「一般財源化」こそが、いわゆる「族議員」に阻まれ、小泉総理も成し遂げられなかった、「改革」の大きな課題なのである。
7.そして、民主党の岡田克也元代表や前原誠司前代表が「暫定税率より『一般財源化』が改革の本丸」という趣旨を発言しておられるとおり、同じような思いの「心ある若手」は民主党内にもいる。もちろん、筋論から言えば、車に乗る人だけが負担し(特に地方で消費量の多いガソリンの税金で)、日本全国(特に都市部)の年金や医療にも使えるようにする「一般財源化」は「受益と負担」の関係からは、筋の通りにくい話で、本来なら医療や年金の支出は、国民が広く薄く負担する消費税などを充てるのが正論ではあるが、国の将来を見据えて、このような税制の抜本的な議論が与野党間で行われないことが問題なのである。
8.確かに国民にとって税負担の軽減がありがたいのはもっともである。私自身、地元の経済状況を考えると辛いものがある。しかしながら、国の在り方を考え、将来世代に先送りすることなく、国民の負担の在り方を考えることは、責任政党の果たすべき重大な役割であり、将来に向けた明確な展望を示すことによって、国民に真の安心感をもってもらうことが政治の原点であると思う。このため、国民の皆様に、引き続きどうしても必要な負担をお願いすることもまた政治の責任であると考える次第である。
9.さらに、この「ねじれ国会」の状況で、政治不信がこれまでになく高まっている今こそ、今回のような国民生活の混乱を回避するためにも、党派を超えて、それぞれの党利党略を超えて、「改革」を目指す若手改革派が結集すべき時であると考えている。これまでに、私も自分自身が中心となって自民・公明・民主の超党派の議員立法で「海洋基本法」や「地理空間情報活用推進基本法」(米国のGPSを補完する我が国独自の衛星を打ち上げ、地図情報を整備し、防災対策や一人住まいのお年寄りへの行政サービスを充実させるもの)を成立させてきたが、最近では、超党派の「せんたく議連」(政治の「洗濯」と「選択」)や「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の立ち上げに参画するなど、常に、与野党問わず「改革」を志向する仲間と信頼関係を築いてきているところである。
何としても今の政治状況を変えたい一心であるが、いわば政界再編の胎動が始まっているのである。バラマキで結果的に借金まみれとなる(いい顔)政治ではなくて、本当に皆さんの税金を一円たりとも無駄にせず、できることならこれ以上皆さんの負担を増やさない、真の「改革」を実行できる政治をつくりあげるべく、全力でがんばりたいと思う。
10.今回の再議決に際して、地元の多くの方々からお叱りや、「今後応援しないぞ」といった言葉も頂いたが、以上の考えに立ち判断した次第である。この判断・決意を是非ともご理解頂ければ幸いに思う。私たちの考え方に近い民主党の「心ある」若手もいるのである。今回のような「実力行使」ではなく、お互いに真摯に議論を重ね、同じ考えの仲間が党派を超えて連携することにより、一刻も早く皆様に信頼を頂ける政治を実現したいと、心に誓っている。どうか引き続きのご指導ご支援そして叱咤を心からお願いする次第である。