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拉致問題を考える<国会レポート(22)>
1.5月22日、小泉首相が訪朝し金正日国防委員長と首脳会議を行い、その結果、地村さん、蓮池さん両御夫婦の五人の子供さんたちが日本に帰国した。


2.この総理の訪朝の結果については、家族会の方々から「最悪の結果」などの厳しい批判がなされたほか、各方面から賛否両論の意見が主張されている。


3.しかし、その後の各紙の世論調査を見れば、国民の60~70%の方が一定の評価を与えており、内閣支持率も5~10ポイント上昇している。私自身も、約束も守るかどうかわからない、あのような滅茶苦茶な国であり、小泉総理が訪朝したからこそこの前進があったのであり、評価されて然るべきである、と考えている。

 10人の安否不明者の真相解明についても、「解決済み」とする金正日委員長に対し、小泉総理が執拗に主張したからこそ、「白紙の状態から本格的な調査を直ちに再開する。」との約束を取り付けたのである。


4.そして、23日15時より党の拉致対策本部が開かれ、本部長である安倍晋三幹事長出席のもと、総理に同行した山崎正昭官房副長官、藪中三十二外務省アジア大洋州局長より訪朝の結果報告があった。その場でも様々な意見が出されたが、安倍幹事長がすべて引き取り、感動的ともいえる締めくくりを行い、全員が納得した次第である。


5.その際、安倍幹事長が指摘したのは、以下の通りである。

①10人の安否不明者の真相解明の立証責任は北朝鮮にあり、我々が納得する
まで徹底的に追求する。

②ジェンキンスさんの処遇については、様々な意見があるが、1年7ヶ月前に5人の拉致被害者の方々が日本に帰国した際、この5人の方々を北朝鮮に帰さなかったのは、5人の意思にかかわりなく国が決めた。そして、この事は、一時的に批判もあったが、多くの国民から支持を受けた。 今回、私(幹事長)は、曽我さんと何度も話をし、御本人の意思も確認した。曽我さんは、二人のお嬢さんの将来をすごく心配しておられ、「北朝鮮では幸せになれない。」と確信している。
 
 従って、何とかしてジェンキンスさんを日本につれて来たかったが、総理の説得にもかかわらず、御本人の意思が固く、早急に第三国における再会の機会を設けることとなった。私は、北京にこだわることなく、(ただし米国との犯罪人引渡し協定がある国だと米国に引き渡されるが)自由な意思決定ができるよう、1日とか2日間ではなく、かなりの時間をかけて会っていただく事が必要だと考えている。

③家族会の方々からは、大変厳しい御意見もなされたが、この気持ちもよくわかる。20数年間全く変わらない状態に置かれてしまっていることも十分に理解してあげなければならない。小泉総理はそのようなことも踏まえ、本来テレビ中継は、冒頭のみの撮影予定であった家族会との面談(報告)も、総理の意向で「どうぞテレビの前で思いのたけを全部言ってください。」との事になった。

④平沼赳夫拉致議連会長が家族会と一緒になって総理を批判した事についての意見もあったが、誰かがやはり家族会の立場に立って発言しなければ、家族会もやり切れないなかった。そのような家族会の方々の気持ちを思いはかっての平沼会長の御発言だったと思う。


6.この安倍幹事長の総括を聞いていて、私は、涙が出そうになった。これだけ真剣に拉致された家族の方々のことを考えている政治家が他にいるだろうか。そして、しっかりと国の戦略を考え、条約・法律との関係など含めきちんと頭が整理されている。この人こそこの国のリーダーにふさわしいと改めて感じ入った次第である。会議において、私からも、

①事前に交渉の内容が漏れて、「8人の家族の帰国は当然。安否不明の10人の方についても、何らかの情報が得られる。」など家族会の期待感が高まりすぎたことへの反省、

②安否不明の10人の方々については、国連など第3者機関の調査も含めて我々が十分に納得できるようにして欲しい、

旨発言したが、有本恵子さんの伯母さんがボランティアで私を手伝ってくれている事も踏まえ、会議終了後、安倍幹事長より丁寧に声をかけられた。今後とも、安倍幹事長をしっかりサポートし、この国の将来を共に創っていきたい。

(なお、食料援助については、①国際機関の要請があること、②途中で搾取されることなく、北朝鮮の一般国民に届くよう、しっかりとモニタリングを行っていくこと、など薮中外務省アジア大洋州局長より報告された。)
  
(追記)5月26日午後の内閣委員会で細田官房長官に対し、本問題について私が 質問に立つことになった。


衆議院議員 西村やすとし