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道路公団民営化の方向性について
"1.道路公団の民営化の具体的な案が固まった。事前に3つの案が提示されていたが、結局、道路を管理・運営する新会社が資金を調達し、新規道路の建設も行うとの案となった。


2.これをどう評価するか?道路建設の整備計画9,342kmのうち残る約2,000km全線の建設を主張する道路族議員との妥協、と見ることもできるが、「形」を譲って「実」を取った(改革に向けてギリギリの着地点となった)、との見方はできないだろうか?

① 第一に、仮に約2,000km全線つくることとなったとしても、当初予定の総建設費約20兆円を約13兆5,000億円に、約6兆5,000億円もの大幅なコスト削減をしている。

② 第二に、新会社が採算性を考慮して「建設の判断」を行っていくこととなり、建設の「拒否権」を持つ(但し、国土交通大臣が必要と認める場合は「社会資本整備審議会」に判断を委ねられる)ことから、例えば、約5兆円かかると言われている「第二東名」は優先度が下がり(事実上の凍結に近いのではないか)、首都圏の渋滞解消などにつながる環状バイパスなどが優先・建設されることになる(経済性・採算性が重視される)、と考えられる。


3.今後、具体的に法律の整備を進めるに当たっての注目すべき視点をいくつか指摘したい。

① まず、第一に新会社の自主性・自立性が保たれ、「拒否権」が有効なものとなることを期待したい。 

② 次に料金の問題である。私自身は今までの仕組み(道路公団が郵貯や年金から借金する形)での道路建設は凍結し、借金返済と料金下げを行うべきと主張してきたが新会社は民営化により平均約1割の料金下げを目指している。徹底したコスト見直しにより、さらなる料金下げ実現を期待したい。選挙中にも指摘した高額ランプの購入問題((注)地元淡路の岬電機が3分の1の価格で納入しようとしたのに、ファミリー企業・系列企業に阻まれ、参入できない)を含め、様々な面でコスト削減を期待するものである。

③ 第三に、その上で、さらに民間企業ならではの、航空会社に見られる「マイレージ制」の導入など、利用促進(即ち借金返済)につながる知恵・アイデアの結果を期待するところである。

④ 第四に、この新しい仕組みでは建設できない道路については、今後国の直轄事業として、国自身が整備していくことになるが、その場合でも、(1)三位一体改革の中で財源を地方に移した上で、建設を主張する地元の負担で建設すること、(2)PFIを活用し、できるだけ税金投入量を減らすこと、などを十分に検討すべきだと思う。


4 . いずれにしても、これですべてが決着というわけでなく、今後の民営化の道筋について、税金の無駄遣いとならないよう注視するとともに、民間の知恵を結集できるように環境を整備しておかなければならない。(その意味で、道路関係四公団民営化推進委員会の民間委員が相次いで辞任したことは残念でならない。)なお、明石海峡大橋の通行料金については、民営化によるコスト削減等を通じ、1割を上回る大幅な値下げとなるよう今後とも努力してまいりたい。


衆議院議員 西村やすとし"