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イラクへの自衛隊派遣に思う
"1. 自衛隊のイラク派遣が決まった。小泉総理の苦渋の決断を支持しつつ、その理由等について何点かコメントをしたい。
①そもそものこの戦争の「大義」については、確かにすっきりしない点があることは否定できない点があるが、現時点で、現に何万人ものイラクの人たちが病院もなく道路も閉ざされ、復興を望んでいるという厳然たる事実があり、既に、イギリス、カナダ、スペイン、オランダ、オーストラリアなど37ケ国・15万人以上の人たちが復興に携わっていることからすれば、日本としても国際社会の一員として一定の役割を果たすべきであると思う。
②第二に、「国連中心主義」が理想ではあるが、今回の戦争においても「米・英」と「独・仏」との利権・路線争いの面が見られるように、必ずしも国連が十分に機能できるわけではない。もちろん国連の機能を充実させるべく努力をしていくことは重要であるが、現実問題として、日本の安全保障を考えた場合、「日米同盟」が基本であり、アメリカとの協調が第一である。同盟国として、時としてアメリカを「いさめる」ことも必要であるが、基本は「協調行動」である。
③特に、近い将来の北朝鮮との関係を考えた場合、アメリカとの密接な連携が不可欠である。(同様の立場から、韓国は、米・英に次ぐ規模の派遣を決めている。)
④マスコミ報道の風潮についてもコメントしたい。
(1)第一に、「戦地」などの言葉が使われ、まるでイラク領土が未だ戦闘状態にあるかの印象を与えているが、イラク南部地域は比較的安全であり治安が安定していることなど、正確な報道を望みたい。
(2)第二に、当たり前のことであるが自衛隊は「武力行使」に行くわけではないことをしっかりと報道して欲しい。病院や学校を直し、医療援助や給水活動を行う、という「人道支援」に行くのである。
2.以上のような認識に立って、自衛隊のイラクでの人道支援活動の決定を支持するとしても、次のような課題が残る。
(1)「非戦闘地域」に行くわけであるが、自衛隊の安全確保には万全を期さなければならない。その際、万が一にテロの攻撃などを受けた場合の武器使用基準は明確で徹底されているのか。(相手が撃つまで撃たない、などという言い方が平然と伝わってくる。)
(2) さらに、自衛隊員は自らの身を守ることはできるが、共同して作業を行う他国の""仲間""を守ることができない。例えば、アメリカ軍と協調して病院を修復しているときに、アメリカ兵が襲われたとしても、自衛隊は助けることができないのである。これは、日本国憲法の解釈において、いわゆる「集団的自衛権」(共に守り合う権利)を放棄しているからである。他の国の人は、自衛隊に万が一のことがあった時は守ってくれる。国際社会の常識である。このようなことで日本が国際協調の中で責務を果たす、と言えるのか?
3.以上のようなことを突き詰めていくと、現行憲法とその解釈の中で、相当の無理を重ねてきていることもわかる。小泉総理が説明したように、憲法前文には、「恒久の平和を念願し」、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」などの理念が並ぶが、現実の日本国憲法の条文にあるのは、「専守防衛」なのである。日本の国の防衛(安全保障)とイラクの復興がどういう関係にあるのか、ギリギリの説明しかできない。""解釈"" で自衛隊の活動領域を広げていくのはもう限界なのではないか。
これから先は大変危険な領域に入ってくことも懸念される。今まさに日本の国の安全保障、そして、国際社会の中で果たすべき役割などをしっかり議論し、憲法を正面から議論すべき時にきているものと思う。
私自身は、集団的自衛権を認め、また、自衛隊の海外での活動を憲法上しっかりと位置づけるべきだと考えるが、今後、党派を越えて議論を重ねていきたい。
衆議院議員 西村やすとし"
①そもそものこの戦争の「大義」については、確かにすっきりしない点があることは否定できない点があるが、現時点で、現に何万人ものイラクの人たちが病院もなく道路も閉ざされ、復興を望んでいるという厳然たる事実があり、既に、イギリス、カナダ、スペイン、オランダ、オーストラリアなど37ケ国・15万人以上の人たちが復興に携わっていることからすれば、日本としても国際社会の一員として一定の役割を果たすべきであると思う。
②第二に、「国連中心主義」が理想ではあるが、今回の戦争においても「米・英」と「独・仏」との利権・路線争いの面が見られるように、必ずしも国連が十分に機能できるわけではない。もちろん国連の機能を充実させるべく努力をしていくことは重要であるが、現実問題として、日本の安全保障を考えた場合、「日米同盟」が基本であり、アメリカとの協調が第一である。同盟国として、時としてアメリカを「いさめる」ことも必要であるが、基本は「協調行動」である。
③特に、近い将来の北朝鮮との関係を考えた場合、アメリカとの密接な連携が不可欠である。(同様の立場から、韓国は、米・英に次ぐ規模の派遣を決めている。)
④マスコミ報道の風潮についてもコメントしたい。
(1)第一に、「戦地」などの言葉が使われ、まるでイラク領土が未だ戦闘状態にあるかの印象を与えているが、イラク南部地域は比較的安全であり治安が安定していることなど、正確な報道を望みたい。
(2)第二に、当たり前のことであるが自衛隊は「武力行使」に行くわけではないことをしっかりと報道して欲しい。病院や学校を直し、医療援助や給水活動を行う、という「人道支援」に行くのである。
2.以上のような認識に立って、自衛隊のイラクでの人道支援活動の決定を支持するとしても、次のような課題が残る。
(1)「非戦闘地域」に行くわけであるが、自衛隊の安全確保には万全を期さなければならない。その際、万が一にテロの攻撃などを受けた場合の武器使用基準は明確で徹底されているのか。(相手が撃つまで撃たない、などという言い方が平然と伝わってくる。)
(2) さらに、自衛隊員は自らの身を守ることはできるが、共同して作業を行う他国の""仲間""を守ることができない。例えば、アメリカ軍と協調して病院を修復しているときに、アメリカ兵が襲われたとしても、自衛隊は助けることができないのである。これは、日本国憲法の解釈において、いわゆる「集団的自衛権」(共に守り合う権利)を放棄しているからである。他の国の人は、自衛隊に万が一のことがあった時は守ってくれる。国際社会の常識である。このようなことで日本が国際協調の中で責務を果たす、と言えるのか?
3.以上のようなことを突き詰めていくと、現行憲法とその解釈の中で、相当の無理を重ねてきていることもわかる。小泉総理が説明したように、憲法前文には、「恒久の平和を念願し」、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」などの理念が並ぶが、現実の日本国憲法の条文にあるのは、「専守防衛」なのである。日本の国の防衛(安全保障)とイラクの復興がどういう関係にあるのか、ギリギリの説明しかできない。""解釈"" で自衛隊の活動領域を広げていくのはもう限界なのではないか。
これから先は大変危険な領域に入ってくことも懸念される。今まさに日本の国の安全保障、そして、国際社会の中で果たすべき役割などをしっかり議論し、憲法を正面から議論すべき時にきているものと思う。
私自身は、集団的自衛権を認め、また、自衛隊の海外での活動を憲法上しっかりと位置づけるべきだと考えるが、今後、党派を越えて議論を重ねていきたい。
衆議院議員 西村やすとし"