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りそなへの2兆円の資本注入に思う
1、りそな銀行に約2兆円もの公的資金が資本注入されることになった。結果的に、金融システムが安定化するのはいいことではあるが、いくつかの疑問を述べたい。

2、(1)第一に、この2兆円は私たちの税金である。本当に2兆円が必要なのかどうか、きちんとした説明をしてほしい。つまり、今回の資本注入でりそなの自己資本比率は、国際基準をはるかに上回る約10%となるが、そこまでする必要があるのであろうか。国内業務に専念するなら、4%でいいはずである。2兆円が何のために必要なのかきちんとした根拠を示してほしい。

(2)第二に、これまでの経営者の責任をもっと明確に追求すべきである。単に、現経営陣の退職金の不払いだけでは済まされない。過去の経営者も含めた私財の提供まで行うべきではないか。

(3)第三に、外資への売却や他行との合併などの方策はなかったのか?少なくとも検討はなされたのか?外資に対しては、よく「ハゲタカファンド」と呼ばれ、安く買いたたき、「良いとこ取り」をしていると言われることが多い。果たしてそうであろうか。私は、次のように考える。今、政府も地方も税収が減り、限りある税金をいかに有効に使うかが大切なのである。したがって、私たちの税金を投入するより、外資がお金を出してくれるのなら、それを「利用」すればいいのである。そして、5年後、10年後に日本経済がまた元気になったときに、必要なら買い戻せばいいのである。かつて、日本経済がバブルの頃、米国経済は調子が悪く、多くの米国企業が売りに出され、日本の企業が米国の有名ゴルフ場やロックフェラーセンターなどを買収した。しかし、何年か経つと、また米国企業が元気になり買い戻したのである。同じようにすればいい。外資は「利用」すればいいのである。


3、りそなの株価は、資本注入決定前より上昇している。政府の助けを求めた企業の株価が上昇するのはどこか腑に落ちない。破綻しそうな企業やダメになるかもしれない企業がバンザイすれば、政府が助けてくれる。こんなことでいいのだろうか。必死で頑張ってる中堅・中小企業には資金が回らずに、経営に行き詰まった大企業は救われる。おかしな制度である。

4、「産業再生機構」も本当に必要なのだろうか。今では、民間のいわゆる「再生ファンド」が数多く立ち上がっているし、また、京都の日本電産や北海道のカラカミ観光に代表されるように、元気な企業が行き詰まった企業に投資をして再生させている。民間の力で、そして、マーケットで、できるだけ解決されるべきことではないのか。そんな気がしてならない。あえて、公的部門が行うとすれば不良債権、または企業買収公開入札のような制度が考えられないか、と思うが、税収が大幅に減少している今こそ、民間の知恵を求めるべき時である。そして、少ない税収は、将来の日本のために有効に、効率的に使うべきである。


西村やすとし