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イラク戦争に思う
1.  戦争は誰もがいやである。平和な世界であってほしい、と誰もが願う。しかし、今回、アメリカのイラク攻撃に際し、攻撃を認める国連の決議がないにもかかわらず、日本政府は、早々とイラク攻撃の「支持」を表明した。


2.  この日本政府の対応については、疑問や批判の声もあったが、結局は、「北朝鮮との関係でアメリカの力を借りなければならないから、アメリカと同一歩調をとる。やむを得ない選択である。」ということで、多くの国民の理解を得たものと思われる。


3.  しかし、その後の対応も含めて、何点かのコメントをしたい。


① 第一に、極端な言い方をすれば、言わば結論が『先にありき』なのだから「国連の追加決議が望ましい」などと言わずに、最初から「国連決議の有無に関わらず、アメリカの行動を支持せざるを得ない」旨、明言しておくべきであったのではないか。「外交」とは結局のところ、「内政」である。国民がどう思うかが、大事なのである。「国連の追加決議」が採択されるかの期待感を国民に抱かせたのは、明らかに「内政」の失敗である。最初から「最悪のケース」をきちんと説明しておくべきなのである。


② そして、第二に、アメリカに対しては「支持表明」をもっと「高く売る」べきであった。早々の「支持表明」はアメリカにとってはありがたいものである。戦後の「油田」の利権を一つ約束させるくらいの「したたかさ」があっていいのではないか。外交の場では、各国の思惑(国益)が激しくぶつかり合う、したたかに、したたかに、タテマエを言いながらも、国益を実現する「実」を取ることが必要である。


③ 第三に、英の態度・対応は、「外交力」を考える上で、大変参考になる。ブレア首相には、強い信念が感じられたし、米国に対して言うべきことは言っているのである。盲目的な追随ではない。


④ 第四に、じっとしていても平和は来ない、ということをもう一度認識すべきである。積極的に行動することによって初めて平和を構築できるのである。従って、憲法の許容する範囲で、自衛隊のPKO活動など、日本国として、世界の平和実現に向けて積極的に行動することが必要であり、このことについては、国民の間に広く理解がされてきたものと思う。そして、今回の対イラク戦争終了後も、その戦後復興において自衛隊の果たす役割は大きいものがあると思う。


⑤ ただし、今回のイラク攻撃は「大量破壊兵器」を製造・隠匿していることがその理由であったのだから、その証拠を掴んだのかどうか、戦争終結に際しては、まずは、その説明をアメリカに求める必要があるのではないか。そして、その上で戦後復興の議論、日本国としての協力の議論になるのではないか。


4.  いずれにしても、「国連中心主義」と「米国との同盟関係」、この両立をいかに図っていくかが課題であり、日本の「外交力」即ち「国民への説明能力」と国際社会での「したたかさ」が強く求められているのである。


西村やすとし