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中国の世代交代に思う~“横並び主義”を排す~
"1.日本経済はデフレに有効な対策を打てずに低迷を続けている。そのデフレの要因の一つに中国からの安い品物の輸入があげられる。

2.ところで、日本経済500兆円、うち消費は、年間300兆円であるが、このうち中国からの輸入は何兆円くらいあるのだろうか。つまり、私たちは年間300兆円ものお金を使っているのだが、そのうち中国製のものはどのくらい買っているのだろうか?

3.答えは7兆円。""300兆円のうちわずか7兆円""というのが率直な感想だと思う。消費全体の5%にも満たないのである。確かに繊維製品とか特定の分野では、その割合はもっと高くなるであろうが、全体としては、未だたいした事の無い数字である。つまり、まだ日本経済の潜在力はあるのである。(詳細は拙著「リスクを取る人・取らない人」(PHP研究所)で!)

4.しかし、今日の中国の政権内の世代交代には目を見張る。76歳の江沢民氏から59歳の胡錦濤氏への交代を含め大幅な若返りである。あの長老支配のきつい中国で、50歳代中心の政権誕生である。このことで、中国は益々パワーを増していくに違いない。日本への輸出についてももっと勢いをつけてやってくるであろう。

5.こんなふうに考えると、日本経済に残された時間はわずかなのである。今こそ過去のしがらみにとらわれることなく、大胆に改革を進めなければならない。

6.ある中国人が言っていた。「『日本は自由主義だ』と言いながら、規制や慣習でがんじがらめになっている。中国の方がよっぽど自由だ。なぜなら、規制はたくさんあるが誰も守らないからだ。」また、中国の大学生の間では次のような話が広まっているという。「米国の企業に就職すれば、頑張ったら頑張っただけ報酬をもらえるし、能力があれば待遇もよくなる。しかし、日本企業では、能力があってもなくてもみんな一律に扱われるから、日本企業に就職すると『社会主義が汚る』」

7.何とも情ない話である""一律主義""、""横並び主義""のようなDNAが今の日本を支配してしまっているのである。地方主権を主張し、改革派と呼ばれる知事たちですら、この横並び意識に侵されてしまっている。何故、みんな声をそろえて「高速道路を作ってくれ」と言うのだろうか。40兆円もの借金があって、どうやったら返せるのか答えも出てないのにまだ建設を求めているのである。一人くらい「うちの県は高速道路は我慢する。その代わり新しい産業を起こす予算をつけてくれ」とか「うちはPFIを活用して民間で高速道路をつくる」など主張する知事が出てこないだろうか?一人くらい「いち抜けた!」とできないものだろうか?

8.大阪府の""東京都にならえ""の姿勢も情ない。東京が銀行に税をかけるのなら、大阪は逆に税を安くして金融機関に誘致する、といった発想がでてこないものか?
 また、東京都と同じようにホテルに税をかけることを考えるのではなく、逆にホテルや観光客への優遇措置で観光客を増やすような策を打ち出せないものか?「損して得取れ」こそ大阪商人の真髄ではなかったか?

9.今、日本に求められているのは、この「逆バリ」の発想。つまり、「人と違う」ことをやる発想である。政府も企業も""横並び主義""からの脱却が緊急の課題である。いくら補正予算をつけても、根本の発想を変えない限りこの国に未来はない。   


西村やすとし"