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ペイオフ開始を延期したら日本は滅ぶ
"1.金融機関の不良債権の処理が進まず、日本の金融システムは未だ不安定なままである。そして、大手都市銀行の株価は下落、低迷している。かつて、1990年頃、資産等で世界のトップ15行の半分以上を占めていた日本の銀行であるが、ここまで体力がなかったのか、と驚くばかりである。
こうした状況のもと、ペイオフ(金融機関が経営危機に陥っても、1,000万円までの預金は保護されるが、それを超えるものは保護しない、という制度)の来年(2002年)4月実施について、守旧派議員の一部から、実施を再延期すべき、との意見が出されている。
しかし、絶対に延期してはならない。もし、延期すれば、日本の金融システムへの信頼が完全に失われ、日本の国債、株式市場は暴落すること間違いない。
2.確かに、ペイオフを実施することは、金融機関の選別につながる(1,000万円を超える預金をしても大丈夫かの判断をされることになる)から、金融機関にとっては、緊張感を持って経営することが求められるし、また、預金者の側からも、できることなら1,000万円も超えて保護してほしい、という思いがあるのもっともである。
3.しかしながら、この金融機関、預金者の両方の側の「甘え」がこれまで金融機関の体質改善を遅らせてきたのである。
まるで、水の中に入れられたカエルが、徐々に水の温度が上昇しているのに気がつかず、やがて死んでしまうように、甘やかされた(保護された)状態では、環境の悪化に対応できないのである。
いきなり沸騰したお湯に投げ入れられたカエルは飛び出して生き延びる。
やはり、厳しい環境に身を置かなければいけないのである。
4.金融機関は、これまでいわゆる「護送船団方式」により、新規参入、独自の新商品開発(抜けがけ)が妨げられ、規制によって皆平等に生き伸びてきた。しかし、経済のグローバル化に伴い、自由な経済活動を求める動きが活発化する中、国境や業界の境を超えて新たな金融機関(外資系銀行、ソニー銀行など)が誕生し、既存の金融機関も自立に向けて、経営の健全化、体質強化、新たな商品開発など強く求められるようになった。もはや、甘えることは許されないのである。「選別」されるリスクを感じながら、緊張した経営が求められるのである。
5.しかしながら、現実はまだそこまでの緊張感がない。大型合併をしたグループにおいても元の各銀行の本社体制・本社ビルは依然そのままであるし、カードや通帳も未だ互換性がない。何のための合併かよくわからない。
米国の銀行は、私が留学した91年には、既に24時間のATMが数多くあったし、いわゆるドライブスルーで、預金の出し入れが可能であった。預金する際にも、日本の普通預金と違って様々なタイプ(商品)があり、例えば、月平均の預金残高が1,000ドルを超える場合は、金利がプラスアルファされ余分につくが、万が一1,000ドルを下回った月は、手数料を余分に取られるなど、数多くの商品があった。最初預金する際説明を受け、戸惑ったことを覚えている。日本の金融機関も独自のサービスや商品を開発しなければならないのである。競争することにより、お互い切磋琢磨され全体として体質が強化されるのである。
6.また、消費者の側も、厳しい選別の目を持つことにより、自分の財産を守ると同時に、金融機関を育てるくらいの気持ちを持つことが大事である。金融機関のみならず、サービス業含め、その国の産業はやはり、その国の国民のレベルによって決まる。
7.来年4月のペイオフ実施とそれに向けた準備の中で、金融機関の体質強化と国民の「審美眼」により、日本の金融機関システムが安定化していくことを期待したい。
西村やすとし"
こうした状況のもと、ペイオフ(金融機関が経営危機に陥っても、1,000万円までの預金は保護されるが、それを超えるものは保護しない、という制度)の来年(2002年)4月実施について、守旧派議員の一部から、実施を再延期すべき、との意見が出されている。
しかし、絶対に延期してはならない。もし、延期すれば、日本の金融システムへの信頼が完全に失われ、日本の国債、株式市場は暴落すること間違いない。
2.確かに、ペイオフを実施することは、金融機関の選別につながる(1,000万円を超える預金をしても大丈夫かの判断をされることになる)から、金融機関にとっては、緊張感を持って経営することが求められるし、また、預金者の側からも、できることなら1,000万円も超えて保護してほしい、という思いがあるのもっともである。
3.しかしながら、この金融機関、預金者の両方の側の「甘え」がこれまで金融機関の体質改善を遅らせてきたのである。
まるで、水の中に入れられたカエルが、徐々に水の温度が上昇しているのに気がつかず、やがて死んでしまうように、甘やかされた(保護された)状態では、環境の悪化に対応できないのである。
いきなり沸騰したお湯に投げ入れられたカエルは飛び出して生き延びる。
やはり、厳しい環境に身を置かなければいけないのである。
4.金融機関は、これまでいわゆる「護送船団方式」により、新規参入、独自の新商品開発(抜けがけ)が妨げられ、規制によって皆平等に生き伸びてきた。しかし、経済のグローバル化に伴い、自由な経済活動を求める動きが活発化する中、国境や業界の境を超えて新たな金融機関(外資系銀行、ソニー銀行など)が誕生し、既存の金融機関も自立に向けて、経営の健全化、体質強化、新たな商品開発など強く求められるようになった。もはや、甘えることは許されないのである。「選別」されるリスクを感じながら、緊張した経営が求められるのである。
5.しかしながら、現実はまだそこまでの緊張感がない。大型合併をしたグループにおいても元の各銀行の本社体制・本社ビルは依然そのままであるし、カードや通帳も未だ互換性がない。何のための合併かよくわからない。
米国の銀行は、私が留学した91年には、既に24時間のATMが数多くあったし、いわゆるドライブスルーで、預金の出し入れが可能であった。預金する際にも、日本の普通預金と違って様々なタイプ(商品)があり、例えば、月平均の預金残高が1,000ドルを超える場合は、金利がプラスアルファされ余分につくが、万が一1,000ドルを下回った月は、手数料を余分に取られるなど、数多くの商品があった。最初預金する際説明を受け、戸惑ったことを覚えている。日本の金融機関も独自のサービスや商品を開発しなければならないのである。競争することにより、お互い切磋琢磨され全体として体質が強化されるのである。
6.また、消費者の側も、厳しい選別の目を持つことにより、自分の財産を守ると同時に、金融機関を育てるくらいの気持ちを持つことが大事である。金融機関のみならず、サービス業含め、その国の産業はやはり、その国の国民のレベルによって決まる。
7.来年4月のペイオフ実施とそれに向けた準備の中で、金融機関の体質強化と国民の「審美眼」により、日本の金融機関システムが安定化していくことを期待したい。
西村やすとし"