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北京・長春出張報告。
1.12月19日〜23日、自民党の若手で北京・吉林省長春を訪問。同世代の指導者候補と関係を強化するのが目的だ。
今回は、折しも北朝鮮の金正日総書記の死去の報が伝わり、北朝鮮情勢が大きなテーマとなった。唐家璇・元国務委員、黄柏富・元人民解放軍参謀本部情報部長他との意見交換の内容を紹介すると、金総書記の死去については「最近、健康状態が良くなっていたとの認識が広がっていただけに “意外だ” 」との受け止め方が大勢であった。

2.また、三男の金正恩(ジョンウン)氏への権力承継は規定路線であり、大きな混乱はないだろうとの見方である。現在のところも、秩序は維持され混乱は無いとのこと。しかも、正式の継承は3年後であり、その間に様々な調整(ポストなど)を行ってゆくだろうとの見方も披露された。他方、金正恩氏が過激な行動に出る可能性も否定できないが、関係国が過激な反応・対応をしないようにしよう、との話も出た。いずれにしても、中国としては、朝鮮半島の安定が第一で、「混乱を見たくない、許されない」との立場である。

3.北朝鮮については、最近、米国との対話に応じ、また、韓国との対話も再開される気運が高まるなど変化が見られており、この機会に、核、ミサイル、拉致問題の解決に向けて各国と連携して対応すべきである。特に正恩氏はスイス留学などを通じて西欧社会をよく知っており、その経験が今後どう活かされるか注目される、との意見も示された。いずれにしても、最終的な朝鮮半島の安定に向けて連携協力を確認したところである。

4.また、次の政治局常務委員入りが確実視されている李源潮・党中央組織部長とは、双方の政治・経済情勢について意見交換を行った(写真①)。次世代(第6世代)のホープで、昨年お会いした胡春華・内モンゴル自治区書記、周強・湖南省書記(2010年12月28日活動報告参照)をどう評価するか、との質問もあった。来年秋の党大会に向けて、いろいろと人事を調整しているのであろう。

5.今回、北京で最も興味深かった意見交換は、全国人民代表大会財政経済委員会の呉暁霊・副主任委員との意見交換だ。世界経済や中国経済についての認識や、中国の経済運営について、かなり突っ込んだ議論を行った()。驚いたのは、欧州を含め世界経済については、極めて楽観的な見方であり、国内の経済運営について自信を持っていたことである。私からは、①このところの(中国国内の)金融引締めで経済の減速傾向が著しく、最近は緩和の方向に舵を切ったかのように見えるが、住宅をはじめ物価は依然高く、インフレを抑えることも必要だろうが、さらに緩和するのか、②外貨準備を使って欧州のEFSF債を買うことにより、欧州を支援するのか、 について質問した。呉副主任委員からは、①9%の成長が必要だという意見も多いが、まだまだ金融緩和はできない、外国からの投資は減るだろうが、中国にはまだ(財政的)キャパシティ(余裕)がある。金融政策を早急に改革し、しっかりコントロールしたい、②約3兆ドルの外貨準備については資産としてしっかり維持する方針であるが、EUの債権についても買い続ける考えである、との応答であった。中国人民銀行での経験も長く、現状をしっかり認識・分析され、よく整理された考えを述べられた。全国人民代表大会は、日本の国会にあたり、民主化の流れの中で、その影響力が強まっていると聞く。しかし、実際のところ、政策形成に一体どこまで影響力があるのかわからないが、相当の能力を感じた次第である。今後とも、チャンスがあれば、世界経済について意見交換したい。

6.さらに、北京では、中国青年政治学院(2007年4月4日活動報告参照)で旧知の倪邦文・書記他と意見交換()、同じく旧知の井頓泉・中日友好協会副会長、元外交官の盧樹民 中国人民外交学会副会長とも懇談した。なかでも、旧知の盧雍政 中国共産主義青年団書記との懇談は大いに盛り上がった(2008年9月21日活動報告2011年1月19日活動報告参照)。

7.また、22日には、吉林省の長春()を訪問し、吉林大学を視察し、日本研究センターの皆さんと日本の政治・外交の状況について意見交換()。日本の現状についてよく研究しておられ、有意義な会であった。その後、孫政才書記と意見交換()。前述の胡春華・内モンゴル自治区書記、周強・湖南省書記と並ぶ第6世代のホープだ。しかも、既に農業部長(大臣)を経験している。同世代の政治家として、今後も交流を重ねたいと思う。
(ちなみに、長春は、旧満州国時代の建造物が数多く残る町である(、⑧)。今回は時間がなかったが、是非あらためてゆっくりと回りたいと思う。)

  • (焦点のあった他の写真を探している途中です)