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地方出張報告(その4)北九州市、福岡市出張
1.5月18日(土)、朝、羽田を発ち、北九州市到着。
 まず、産業医科大学を訪問。ここでは、松田晋哉教授を中心に、福岡県と連携して医療費、介護費データの分析システムを開発し、現在15市町村の医療データを分析している。一人一人の医療費、介護費が匿名ですべてわかり、それと年齢別や疾病別に分析できるし、ジェネリック薬使用の割合もわかる。それぞれの人の健康診断の各種数値結果も入力されており、それに基づき、受診勧奨を行っている。長い目での医療費の適正化につながっているのである。市町村がこのシステムを活用するのに月々わずか2~3万円である。大いに活用し、健康長寿につなげ、結果として、医療の効率化につながることを期待したい(写真①)。

2.続いて、「北九州エコタウン事業」を視察。1998年に経産省から第一号の認定を受け、ペットボトルのリサイクル工場()をスタートしたが、今や車のリサイクル工場()、家電のリサイクル工場など、29社のリサイクル工場が集積している。さらにこのエリアには、沖合いの島にもともと白鳥の国家石油備蓄基地があり、さらに、Jパワーの石炭ガス化実証プラント、11基の風力発電()、加えて、メガソーラーができ、LNG基地建設も進んでいる。正にエネルギーの一大拠点になってきている。
また、驚いたことに、この工業地域のまん中に、ビオトープが自然発生的に生まれ()、今では、絶滅危惧種の鳥、ねずみ、トンボなどが生息するという不思議な空間である。最先端のリサイクル工場、エネルギー基地の真ん中に、原始的な自然の姿があるのである。写真の繁みは、渡り鳥がフェンスの上にとまるたびにフンをし、その中に含まれていた種が芽を出し、やがてこのような様々な種類の樹木がフェンス沿いに育ったのである()。まさに自然の力である。

3.夕方、北九州経済界の方々と意見交換()。重工業中心の経済特区から、リサイクル産業、トヨタ、日産などの自動車産業を誘致し、新しい時代にふさわしい産業構造に生まれ変わっている。そうした中で、アベノミクス特区への強い期待が寄せられるとともに、アベノミクス効果によって、百貨店においては、時計、スーツなど高額商品が売れているとの声を伺った。しかし一方で、円安で原材料が値上がりし大変だとの声も頂いたが、それでもアベノミクスを誰も悪く言わず、期待しているとの意見であった。
アベノミクスの効果が、地方にも中小企業にも行き渡るように全力で頑張りたい。

4.翌5月19日(日)、朝9時から、スマートコミュニティの実証実験を視察(、⑨)。ここでは、新日鉄住金のコジェネにより電力供給を行っており、そのうちの69軒が、スマートメーターと端末による電力値目標、料金の見える化を行い、111軒がダイナミック・プライシングの実験を行っている。ダイナミック・プライシングは、ピーク時の電力料金を高く設定することとしており、例えば、夏は昼の12時~18時の時間を150円/kwhと設定される。この実験により、約2割の電力使用量削減。即ち省エネが実証されたのである。

5.また、この地域では、コークス生産に伴う副産物としての水素の供給を行っており、燃料電池車のみならず、近くの商業施設もこの水素を利用して燃料電池による電力供給を行っている()。

6.また、北九州市環境ミュージアムでは、北九州市の環境問題に対する壮絶な取組みの歴史が展示されていた()。60年代、「七色の煙」と言われ、汚染されたガス、汚染水をたれ流していたのである。その不幸な歴史を乗り越え、リサイクルの街、新エネルギーの街、即ち日本最先端のエコタウンに生まれ変わったのだから、筆舌に尽くしがたい。中国の習近平主席が副主席当時訪れたのも理解できるし、その後中国要人の来訪が跡をたたないのも理解できるのである。ミュージアムの外からは、日本初の高炉の跡のシンボルがそびえ立っていた()。

  • 産業医科大
  • ペットボトルリサイクル工場
  • 車のリサイクル工場
  • 風力発電
  • ビオトープ
  • フェンス沿いの樹木
  • 北九州経済界の方々と意見交換会
  • スマートコミュニティ実証実験①
  • スマートコミュニティ実証実験②
  • 水素エネルギーの利用
  • 北九州市環境ミュージアム
  • 日本初の高炉の跡