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ブラジル・米国他南北アメリカ大陸出張報告(その⑩:米国首都ワシントンD.C.編)~オバマ、マケイン両陣営の有力者の方々と意見交換。~
1.6月24日(火)夜9時すぎにニカラグアの首都マナグアを立ち、25日(水)夜中の1時半すぎに再びマイアミ着。
このマイアミはアメリカと中南米を結ぶ拠点(ハブ)になっており、中南米訪問の際にはしばしば訪れることになる。ちなみに、物流の中継拠点でもあり、貨物の取扱量は全米一の空港である(写真①は、マイアミの街並み)。
そして、空港内のホテルで3時間ほど仮眠を取り、マイアミ発朝8時のアメリカン航空(AA)で今回の出張の最終目的地米国の首都ワシントンD.C.に向かう(は、アメリカらしい機内食。妻・信子が大好きなベーグルに、フルーツ。そしてアメリカン・コーヒー)。

2.ワシントンD.C.は、1991~92年に、ワシントンD.C.郊外のメリーランド大学公共政策大学院に留学した時に慣れ親しんだ街だけに、何度来ても懐かしい思い出がよみがえるし、この時期は緑も多く、(少し暑くなってくるが)大好きな街である(は、ワシントンD.C.の南のバージニア州あたりで、機内から見えた大きな河。空から見るとつい先日見た南米のアマゾン河とも変わらないように見える。は、リンカーン記念塔と周辺。は、ワシントン塔。は、ジェファーソン記念塔と中心部の官庁街)。

3.午前11時頃ワシントンD.C.に到着。その時、妻・信子から突然電話が入り、彼女が卒業したジョージ・ワシントン大学(GW)の卒業証明書を申請してほしい、とのことである。昼食会までのわずかな時間を活用して、GWの学生課(?)を訪ね、必要書類を提出。

そして、12時半、オバマ陣営のジェフ・ベーダー氏と昼食を交えながら意見交換()。その後は、マケイン陣営のスタントン・アンダーソン氏、民主党系のケント・カルダー教授(ジョン・ホプキンス大学:)、オバマ陣営のCSIS(戦略国際問題研究所 )のディレク・ミッチェル氏と意見交換が続く。そして、26日(木)の朝食は、おなじみマイケル・グリーン氏(元・米国ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長)と。現段階での世論調査では、民主党のオバマ氏が10~15ポイント、共和党のマケイン氏をリードしているが、これは、ヒラリー・クリントン候補を支持していた人たちがオバマ支持に変わってきていることも反映しているという。

4.オバマ氏もマケイン氏も、これまでの常識を打ち破るユニークな候補者だけに、いずれも副大統領候補の選定が興味深いが、それぞれの弱点をすべて補う最適の「チケット・メイト」(パートナー)をどう選ぶか興味深いところである。
特に、オバマ氏は、安全保障面、(行政執務)経験面、マケイン氏は、経済政策面、健康面をカバーしてくれる副大統領候補が必要である。そして、激戦が予想されるフロリダ、ペンシルベニア、オハイオといった州、地域の票を掘り起こすのに、副大統領候補がどれだけ貢献できるか、という視点も大事である。

5.今回、いずれの陣営の人たちも、日本との同盟関係の重要性を強調されたし、アフガニスタンをはじめ安全保障面での日本のさらなる貢献への期待も言及された。しかし、問題は日本の国内政治である。ほとんどすべての人たちから、「日本の政治はどうなるのか」「総選挙はいつか」「政界再編はあるのか」「ポスト福田は誰か」など矢継ぎ早の質問を受けた。日本に対する期待は大きいが、政治が安定するまでには時間がかかる、という見方が正直なところだろう。日米の信頼関係を揺るがすことのないよう、心して秋の国会に臨みたい。
なお、北朝鮮をテロ指定国家から解除することについても意見交換を行った。私からは、「拉致問題解決への協力」を引き続き要請した次第である。

6.25日(水)の夕食は、ワシントンD.C.滞在の経済産業省関係者と中華料理をつつく。私がメリーランド大学に留学していた頃(1991~92年)は、日米貿易摩擦の最盛期で、私自身も留学生の立場でありながら、時々はかり出され、日米交渉の手伝いをさせられた。これはこれで大変いい経験にはなったが、今や日米間での経済面での懸案は少なく、武器等の貿易管理など安全保障面での仕事が増えているという。時代背景、世界情勢を反映しているのである。

7.26日(木)は、今回の13日間の出張の最終日である。最後の仕事は、旧知のマイケル・グリーン氏(前述)と朝食会。偶然に一人で訪米していた盟友・西銘恒三郎代議士(沖縄県選出)も加わり、意見交換を行う()。沖縄の基地移転の問題、拉致問題、アフガン情勢、大統領選の行方、日本の国会情勢などなど幅広い話題について話す。
そして、朝食後、そのままワシントン・ダレス空港へ。
日本に向かう機内からは、オンタリオ湖のほとりのトロント()、シベリア()を眺めつつ成田へ。日本人好みの全日空の食事()にほっとしつつ、今回の出張の成果の整理をし、原稿を書く。

8.社会保障制度を巡る国内の議論や、原油高騰に伴う国内対策も極めて大事で、今回の出張中も国内の秘書と連絡を取り合い、適宜指示を出していたが、一方で、常に国際的視野を持ち続けることも大切である。あくまで「世界の中の日本」なのである。今回は、エタノール、資源開発、穀物生産、米国大統領選と話題の多い国々の訪問で大変勉強になった。何もない原生林を開拓し、苦労の末に大きな農場経営者として成功されている多くの日本人移住者の方々の生き様にも感動・共感を覚えた。そして、何より、皇太子殿下のご随行という名誉な役割を与えられ、その気さくなお人柄にふれさせて頂いた。私にとっては大きな大きな財産となる13日間の出張であった。今回の成果をしっかりと国益のために活かしたいと思う。