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インドとのさらなる関係構築を!
3月、5月と本年に入って2度インド訪問してきました。 3月は、安倍晋三幹事長代理にお供して、小泉首相の親書をマンモハン・シン首相にお渡しし、日印関係の将来について率直な意見交換をしてきました。2000年の森首相(当時)の訪印以来「日印グローバルパートナーシップ」を推進してきたわけですが、思ったように貿易・投資が伸びず、中印貿易にも追い抜かれてしまう状態でした。これを打破すべく、4月末には小泉総理が訪印され、シン首相と合意して「共同声明」を新たに発表したわけです。そして、5月の連休には、そのフォローアップの気持ちを込めて、また、党改革本部のニューフロンティア協議会(仮称)の担当者として、日本のIT企業とインドとの交流拡大を視野に様々な意見交換をしてきた次第です。いくつかの点を御指摘、御報告したいと思います。
まず第一に、インドは中国と違って、日本との間に歴史問題もなく(むしろ、歴史的には関係が深く)対日感情も良い、そして何より民主主義の国であり、内政が安定していることです。今回西ベンガル州カルカッタも訪問し、バッドチャルジー州首相とも2時間にわたって様々な意見交換をしましたが、あの東京裁判で日本の立場を理解してくれたパール判事、インド独立の際、日本が助けたチャンドラ・ボースはいずれも、西ベンガル州の出身で、州首相は極めて「日本びいき」でした。中国や韓国の企業ではなくとにかく日本の企業に投資をしてほしい、との熱い思いを強く感じました。

第二に、インドのIT企業についてです。世界に冠たるIT都市・バンガロールで、インド最大手のIT企業と意見交換し、日本のIT企業との連携も打診したのですが、日本企業と提携す る気など全くなく、技術的にも日本を見下している感じで、むしろ「日本のいい企業を買収し たい」とのことでした。70%以上は米国との取引であり、日本など目になく、米国を向いて いる印象を極めて強く持ちました。しかし、一方で、チェンナイ、カルカッタの地方の大都市 はそれほどITでは有名ではないのですが、従業員100~数百人の中堅のIT企業が粒ぞろいで、中には米国ナスダックに上場している企業も結構あります。そして、これらの企業は、 日本のIT企業と組んで新規の顧客拡大につなげたいとの希望を持っていました。やはり、貿易・投資には、お互いにニーズがピッタリ合う相手とのマッチングが必要なわけです。秋以降、自民党として日本からの投資ミッションも考えています。実のある交流を実現したいと思います。

そして、第三に、中印関係ですが、実は小泉総理の訪印の直前に、中国の温家宝首相が、文化人約80人とともに4日間インド国内に滞在し「インドの国連常任理事国入りに賛成」の意を示すなど、かなり存在感を示していたことを心配していたわけですが、その後、中国は「日本の国連常任理事国入りに反対」することを表明。インドは日本と共同歩調で常任理事国入りを考えているため、「インドだけ常任理事国入りし、日本が常任理事国になれないことはあり得ない」、結局中国は「インドに対するリップサービスか」との印象になっていました。そもそも、中印両国は、ヒマラヤ周辺の国境を巡って長年の争いがあるわけですし、さらに、インドからすると「民主主義もなく、人権も無視するような国がどうして途上国の代表のような顔をして、常任理事国になっているのか」との思いも強く、中印の信頼関係は、結構底の浅いものであることもわかった次第です。いずれにしても、日本の対中戦略を考えても、インドとは経済面はもちろんのこと、安全保障面でもがっちりと連携することが必要だと思います。日印の信頼関係を深めることが、アジアの平和と発展には不可欠だと考えている次第です。

この秋には、もう一度インド訪問になるかもしれません。私の地元神戸には、インド人の経営者の方も多く(いわゆる「印橋」)コミニュティを形成しています。神戸JC(青年会議所)の理事長を務めた親友もいます。そんな友人の力や知恵も借りながら、日印関係の発展、ひいては、アジアの繁栄に、微力ながらもがんばっていきたいそんな思いです。