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政界再編、消費税増税について考える。
1.5月の連休に米国・シアトルを訪問し、ビル・ゲイツ氏とお会いし、氏が熱心に取り組んでいるポリオ(小児マヒ)撲滅プロジェクトについて、日本政府と連携・協力する枠組みについて話し合った。その際、ゲイツ氏から「日本の政治はどうなっているのか。何も決められないのか。米国の政治も同じかそれ以上にひどいから偉そうには言えないが」という話があった。また、シアトル選出のマグダーモット議員とも面談し、意見交換を行った。議員は大変親日的な方であるが、「日本をいろいろ応援したいし、しっかり連携していきたいが、総理もコロコロ変わるし、誰と話してよいか分からない」旨話された。

2.政治の混迷については、国内の有識者の皆さんからも多くの批判を受けているが、海外からもこのように見られている。同盟国の米国ですらこの様子で、まして、北方領土の返還交渉など、様々な外交交渉についても、日本の政治が安定しないと、相手国は本気で交渉などしないのである。このことのマイナスは極めて大きい。国益を失ってしまっている。政治の現場にいる者として、忸怩たる思いである。

3.では、どうするか。志を同じくする政治家が、党派を超えて結集し、来年9月までに行われる衆議院選挙と来年7月の参議院選挙で、衆・参共に過半数を持つ安定政権をつくるしかない。仮に、自民党・公明党で衆議院で過半数を取っても、参議院で過半数はない。そのためには政界再編するしかないのである。単なる数合わせの談合であってはならないが、政策、志を共有できるメンバーが結集することが必要である。「維新の会」についても、確かに極端な主張をしたり、手法も強引であったりするが、古いシステムを改め、日本を改革していこうとする姿勢は共感できる部分も多い。小異を捨て、日本の将来のために結集することが必要な時に来ている。

4.さて、消費税増税について、どう考えるか。国の借金は1000兆円にもなり、GDP比で219.1%と、あのギリシャ181.2%、スペイン77.2%よりもひどい。もちろん、1400兆円もの国民貯蓄があるため、これまで国債の発行・消化に問題はなかったが、経済成長の鈍化もあり、もはや余裕がなくなりつつある。財政再建に残された期間は2~3年である。

5.他方、長寿化・少子化が急速に進展する中で、年金、医療、福祉の社会保障を安心できるものにするためにも、国民が広く浅く負担を分かち合うことが必要である。このことは、多くの国民に理解をされていると思うが、実際には増税に反対する声が多いのが現実である。

6.確かに、デフレ・円高が続く中で、景気の先行きの見通しも悪く、中小企業にとって増税の負担・不安は大きい。まず、取り組むべきは、このデフレ・円高からの脱却であり、そのために、日銀法改正も含めて大胆な金融緩和が急務である。さらに、大胆な減税も盛り込んだ特区制度の拡充など、成長戦略が不可欠である。地域経済の活力を取り戻し、日本経済全体を成長軌道に乗せて行くことにまずは注力すべきである。

7.次に、将来の一院制を視野に入れた、国会議員定数の大幅削減、国家公務員・地方公務員の人権費削減も早急に行わなければならない。現在国家公務員人件費については7.8%削減(約2900億円)を2年間行うこととなっているが、独立行政法人、地方公務員も同等の削減を行えば、約1兆円の国費削減となる。これは実行しなければならない。さらに、高校無償化などは、所得の高い世帯まで行う必要はない。直ちに所得制限を導入すべきである。このように、歳出についても徹底的な見直しを行い、できる限りの削減を行う必要がある。そして、こうした道筋が見えてくれば、消費税増税についての理解も広がってくるはずだ。

8.次に問題となるのが、社会保障の拡充など、将来の姿である。民主党が最低保障年金にこだわる限り、近い将来のさらなる大幅増税(17~20%)は避けられないし、増税分はすべて年金に使われることになってしまう。やはり、最低保障年金は撤回してもらわないと、議論は進まない。その上で、社会保障の全体像についての与野党間での合意がなければ、増税に賛成するわけにはいかないのである。

9.以上、総括すれば、①デフレ・円高からの脱却と経済成長に向けた大胆な対策、②国会議員定数削減をはじめ歳出削減、③社会保障の将来像、についてパッケージで提示し合い、与野党間で協議が進められなければならない。合意が形成されないのに、消費税増税についてのみ合意するわけにはいかない。日本の将来を見据え、この合意形成に向けた努力を、残された会期の中で全力を尽くすことが私たち政治家の使命である。