BLOG

インド洋でのテロ対策(海上自衛隊の補給活動)撤収。大変残念。
1.インド洋での自衛隊の補給活動が1月15日に終了した。
8年間にわたっての国際貢献が終結となった。大変残念である。何より国際的に大変高く評価されていた活動である。2008年12月の国連安全保障理事会の場で、私は、アメリカのライス国務長官(当時)やイギリスのミリバンド外相から、補給活動の継続について、直接に大変高い評価を頂いた(2008年12月18日活動報告参照。)

2.この補給活動は、極めて意義深いものである。アフガニスタンは、世界中に広がっている大麻の90%以上を生産している。テロリストはそれを輸出し、資金を得て、武器を買っているのであり、そうした、取引やテロリストの行動を封じ込めるために、国連決議に基づき、世界各国が協調して(9ヶ国)、海上阻止活動を実施してきたのである。日本は、憲法の制約があるために、テロリストの船と最前線で直接向き合う活動はできないが、武力行使を伴わない後方支援は可能であり、こうした最前線の外国の船に水・油の補給活動を行ってきたのである。テロリストを封じ込めるために、世界の国々が協調して活動している、その一翼を担ってきたのである。

3.しかも、我が国が実行できる、非常に意味のある国際貢献なのである。理由は、①荒波のインド洋で給油を行うに際して、日本の海上自衛隊の技術の高さを活かせること、②目に見える貢献であること、③甲板では50度を超える過酷な労働環境であるが、基本的に安全であり、武器使用の可能性が低いこと、④費用は8年間で述べ約250億円、年平均30~40億円で済んでいること、などである。少ない費用で顔の見える有効な活動なのである。

4.しかし、民主党政権は、この給油活動を中止して、代わりにアフガニスタン政府に対し5年間で50億ドル(約4500億円)もの資金協力を約束したのである。この厳しい財政状況の中でこの選択、政策決定は正しいのであろうか。
実はアフガニスタン政府に対しては、これまでも2000億円もの支援を実施してきている。550以上の学校を建設・修復、50の病院(クリニック)を建設し、さらに、食料や医薬品を運ぶヘリコプターの修理費用(約5億円)や、治安維持強化のための警察官の給与など警察改革支援(約141億円)も、私が政務官のときに支援を実行した。こうした支援は大変評価されているのである。
このような民生支援も行ってきている状況で、補給活動という目に見える人的貢献をやめる代わりに、さらに追加的に4500億円もの提供することが、果たして適切なのだろうか。確かにアフガニスタンでの資金需要は高いから、資金はのどから手が出るほど欲しいに違いなく、喜ばれるであろうが、国内の財政状況が極めて厳しいこともよく考えるべきである。しかも、かつて批判を受けた“小切手外交”に戻るような対応でいいのだろうか。日本として顔の見える人的貢献としての海上補給活動は、国際的な評価が高く、かつ費用対効果の高い、極めて有意義な活動なのである。こうした視点について通常国会でしっかり議論したい。