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いわゆる「消えた年金」問題について~実は消えていない!~(5月.30日時点で微修正しました。)
1.約5000万件のいわゆる「消えた年金」が問題となっている。国民の皆さんの年金に対する不安・不信感が拡がっており、政府・与党として直ちに対応しなければならない課題である。

2.この問題の経緯・所在を整理すると、以下のとおりである。
①1997年(平成9年)1月に「基礎年金番号」を導入し、厚生年金、国民年金等年金の加入履歴について、一人に一つの番号を付与・統合し、異動履歴があったとしても、一元的に管理することとした(即ち、過去に年金の種類に変化があった方は、それまでは複数の番号を持っていたが、この時点で、番号を一本化した)。ちなみに、この時に1億156万件の基礎年金番号を付与している。

②そして、この基礎年金番号に統合されなかった約5000万件が問題になるわけであるが、決して「消えた」わけではなく、「記録は残っており」、いかに統合させていくかが課題となる。もちろん、本来はこの時点ですべて統合しておかなければならず、社会保険庁の怠慢、不作為は許せない(いわば組織ぐるみの「仕事の放棄」であり、今般の解体・6分割による改革は当然である)。安倍総理が指示された、歴代の社会保険庁長官の責任を問うのも当然であるし、政府・与党としては、国民の不安・不信感を一掃すべく早急に対策を講じなければならない。

③この約5000万件のうち、実は、現在60歳未満の方の約2200万件については、通常は「58歳」になる時に通知があり、記録確認により統合し、60歳~65歳の年金支給時に再確認した上でこれに基づいて支給するため、解決は可能である。さらに、今後、20歳以上の被保険者に送付することとなっている「ねんきん定期便」による「35歳通知」、「45歳通知」により、より早い時期から履歴を確認でき、統合することが可能となる。

④したがって、問題は、既に現在60歳以上の方の約2850万件である。既に亡くなっておられる方や生年月日の不明の方(約30万件)もおられる。もらえるべき年金をもらえなかった方もあるに違いない。遺族の方も含め、これらの方々への照会・統合を早急に行わなければならない。小さなミスも許されない。

⑤その際、記録・根拠(領収書等)がない方の場合についても、適正・公平に取り扱うよう、その手続きを早急に策定することも大事である。何年も前の領収書など、紛失していることを前提に考えなければならない。責任は社会保険庁側にあるわけだから、社会保険庁は一人一人丁寧に対応しなければならないのは当然である。

⑥そして、照会等これらの対応から判明した記録を統合することにより、年金額が増額することとなる場合には、現在の時効5年にかかわらず、過去にさかのぼって全額支給する措置を講ずることが不可欠であり、与党から緊急の特別立法で提出することとした次第である。

3.以上の措置により、本来支給されるべき年金を「全額支給」することが不可欠であり、国民の年金に対する信頼の回復に全力を尽くさなければならない。
 なお、先週末の5月25日(金)、厚生労働委員会での社会保険庁改革法案の採決に際し、民主党議員が、委員長の口を押さえ(封じ)るなどの実力行使を行ったことは言語道断である。正々堂々と論戦の中で、自らの意見・政策を主張し、それにより国民の支持を得ることが民主主義のルールであることを強調しておきたい。