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「臨検」(船舶の貨物検査)について
1.北朝鮮に対する国連安保理決議がなされ、国際社会が一致して経済制裁を行うこととなった。そして、その中で核ミサイル関連物資の供給の禁止や金融資産の凍結に加えて、「貨物検査」が盛り込まれた。

2.実は、日本が「貨物検査」を行えるのは、国内法上「周辺事態」(「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」)において、船舶検査活動法に基づく『船長の承諾を得て』の乗船検査である。強制力を持つものではない上に、警告のための射撃も許されていない。また、船舶検査を行う米軍に対してのみ、いわゆる『後方支援』として、「非戦闘地域」において給油や輸送の活動を行うことができる。

3.しかし、我が国のすぐ近隣に、核実験を行いミサイル実験を行っている国があるのであり、我が国の国民の拉致も行ってきた国なのである。「テロ対策特別措置法」におけるアフガニスタン、「イラク対策特別措置法」におけるイラクとは、我が国の平和と安全に対する脅威が比べ物にならないくらい大きいのである。

4.このような状況において、日本のために、各国が協調して前線に出て「船舶検査」を行うときに、これらの強制力のない「船舶検査」や「米軍への後方支援」のみで十分であろうか。第一に、憲法の制約はあるもののその範囲内で、日本の自衛隊も警告射撃等を行いつつ、各国と協調して船舶検査を行えるようにすべきであるし、第二に、米軍のみに対する後方支援ではなく、協調して行動する米軍以外の国々に対する後方支援も行うべきではないだろうか。

5.ついては、当面今の状況を「周辺事態」と認定して、現行法上認めている、最低限の「船舶検査」(強制力のないもの)や米軍(のみ)への「後方支援」は行うべきであり、さらに、上記4のようなことを可能とする新規立法が必要である。その際、実際に攻撃を受けた場合の「自衛権の発動」に至る前の段階の、近隣国に大変な脅威が出現したときの概念やその対応について整理する必要があるのではないか、とも考える。よく頭を整理し、しっかりと議論を重ねていきたい。