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大震災から約1ヶ月。震災対策を振り返りつつ、大連立を考える。
1.3月18日(金)に政府与党と野党が挙国的に取り組む「各党・政府震災対策合同会議」が発足。3月19日(土)からは、その下に「実務者会合」が設置され、私も自民党の代表として参加し、岡田克也民主党幹事長、藤井裕久総理補佐官はじめ政府・民主党に対して様々な提案をし意見を述べてきました。結果として、これまでの間に、放射能被害の農家への補償の明確化、被災地への水・ガソリン・医薬品などの物資の供給の強化など実現してきました。与党だ野党だと言っている場合ではありませんので、自民党の経験、人的ネットワークなどをすべて出して、一日も早い復興に向けて協力して取り組んでいる次第です。その意味で、事実上、震災対策に関する限り“連立的”に作業を進めているとも言えます。

2.しかしながら、民主党主導の下、私から厳しく批判し改善を求めていることも多いです。例えば、原発事故の対応に関しても、

(1)①燃料棒損傷に伴う「水素発生」とその後の「水素爆発」、②原子炉の冷却のための莫大な量の水を注入したことによる「水たまり」と「汚染水の大量発生」、そして③地震による亀裂からの「汚染水の大量流出」などなど、これらは、当初から当然予見された事柄で、何故、先手先手で手を打って来なかったのか。

(2)また、放射線量の計測数値にしても、文部省はホームページに数値を載せるだけで、その数値の解説は原子力安全委員会の担当、農産物の出荷停止の基準を決めるのは厚労省、その対策は農水省と、各々がバラバラに会見を開く、しかも事前に地元自治体には説明がない、といった「縦割り行政」で「思いやりのない、丁寧さに欠けた」対応をとっています。

(3)さらに、3月25日にフランスから届けられた放射線の防護服・計測器2万セットを放置し、4月6日になってようやく福島県などに搬送したことは、大問題です。現場で作業する作業員の放射線計が足りなかったのにこの様です。政府は情報や対策を一元化して対応していないのです。世界中の知見と協力を得て対応しなければならないのに反応が極めて遅い。各省間の連携、迅速な対応を強く求めているところです。

(4)そして、究極は、4月4日の低レベル汚染水の放出です。日本国民すべてがこの原発の状況に大いに不安になっており、ましてや周辺住民の皆さんにとっては死活問題です。この汚染水の放出は、より高濃度の汚染水の流出を防ぐためとは言え、通常の基準を150倍以上も上回る汚染水です。事前に地元自治体や漁業者の皆さん、そして関係省庁や国際社会などにも伝え、その上で、総理自らがしっかりと説明し、国民に理解を求める事柄だと思います。ことの重大さを全く理解していないのです。

(5)さらには、世界各国で、日本の農産物等に対する「輸入規制」が広がっており、早急に、放射線量を測って「安全証明書」の様なものを発行する等の対策が必要です。これも、以前から各党合同実務者会議の度に主張しているのに、全く前に進みません。各地の商工会や商工会議所に担当窓口を設置し至急対応すべきです。

3.以上、大震災からの復興に向けて、できる限りの協力はしてきているのですが、民主党政権下で、官僚機構が機動的・自律的に機能せず、国民を守るという政治の決意もよく見えてきません。電話一本で入閣を頼むような話ではなく、やはり①国民を守り、日本を発展させていく“覚悟”を共有できるか、②党首間でこうした信頼関係が醸成されるか、③財政的に極めて厳しい状況の中で子ども手当てなどバラマキを廃することについて、民主党内がまとまり、与・野党間で政策の基本的方向が合意できるか、などが必要になります。しかも、私たちは、震災直後から専任の“震災復興大臣”の任命を主張してきているのですが、未だに松本龍・環境大臣が防災担当大臣を兼任する状態が続き、この大臣のリーダーシップもよく見えてきません。この大震災からの復興は片手間で出来る仕事ではないはずです。それなのに、新たに3人の大臣ポストを新設し、野党に“アメ”のように提案しているのです。これでは政策合意のない“数合わせ”、震災を克服する自信・能力の無い政権の延命策でしかありません。大連立に踏み出すとすれば、上記①②③をしっかり詰めることが先決です。ただ、連立の行先がどうあれ、いずれにしても与野党を超えて、協力できるところはしっかり協力していくことに異論はありません。政府のやり方・政策をしっかり監視・チェックしながらも、一日も早い復興、日本の再建に向けて全力で取り組みたいと思います。

4.なお、4月10日(日)の18:00~19:00、読売テレビ(関東4ch・関西10ch)の「バンキシャ!」に震災復興に取り組む私の密着取材が放映されます。出演時間帯は当日にならないと分からないのですが、お時間ある方は是非ご覧下さい。