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郵政民営化法案について
以前掲載した文章を大幅に加筆し、西村やすとし代議士本人の思いをしっかり書いております。

1.7月5日、わずか5票差で郵政民営化法案が衆議院を通過した。私は賛成票を投じた。地元の郵便局長の皆様から大変な御心配の御意見も頂き、これまでに何度となく意見交換もさせて頂いた。

2.(1)私の基本的な考えは、以下の2点である。
 ①第一に、大都市部の郵便局の統廃合はあり得るが、地方では例えば「お年寄りが年金を郵便局でしか受け取れない」地域もあり、また、全国一律でどこへでも定額(例えば、葉書50円)で郵便物が届くという「ユニバーサル・サービス」を維持する必要があることから、地域の郵便局ネットワークはしっかり守ることが大事である。
②一方、郵便貯金、簡易保険合わせて340兆円もの資金を公的管理の元に置くべきでないこと。即ち、これらの資金がこれまで主として役人の天下りを受け入れる特殊法人などに流れており、日本の金融市場を歪めてきているのである。民営化により、これらの資金が市場を通じて本来資金を必要とする中小企業等に流れていくことが期待され、必ず日本経済の活性化につながると考える。

(2)本法案は、この2点についてしっかり実現できるとの判断に立ち、賛成票を投じた次第である。(赤字の郵便局は閉鎖されるのではないか、との御懸念については、法案の修正によりしっかり対応しているし、3年毎の見直しも行うことになっていることから、地域での郵便、金融のサービスが維持されるよう、しっかりとフォローしたい。)ただ、これだけの反対票が投じられたことを踏まえ、今後は、郵便局の皆様方、そして国民の皆様に対し、内容をしっかり説明し理解を得るよう努力する事が必要であり、特に、今後詰めることになる政令・省令(制度の細目)、新会社の定款などを十分に検討することが必要である。さらに、本法案が成立した後も、民営化の進んでいく姿をよく見守り、法案に規定されている見直し条項に基づいて、見直しを行うことも躊躇すべきでない。

3.反対票を投じた議員の中には、純粋に郵便局のことを心配し反対した方々もおられるが、ただ、残念なことは一部に「小泉総理を辞めさせたい」「政局にしたい」「これを機会に自分の影響力ある政権をつくりたい」といった考えが見られることである。
郵便事業の将来や日本経済のことを考えてのことではなく、権力闘争の手段として今回の郵政民営化法案をとらえていることは極めて残念である。特に、場合によっては、野党と組んででも「小泉構造改革路線」を否定しようとする動きは断じて認められない。

4.小泉総理の政治手法については、(1)確かに「強引すぎる」「国民に対し説明が
足りない」との批判もあるし、否定できない面もある。しかし、これまでしがらみにとらわれて誰も改革できなかった「道路公団民営化」といったタブーに手をつけ改革を実現しているのも事実である。(現に、将来の高速道路建設費を20兆円から10.5兆円に削減を行った)

(2)また、私のような国会議員1年生でもどんどん発言の機会を与えられ、仕事を任せてもらえる、自民党をそんな雰囲気に変えてくれたのも小泉首相である。

(3)さらに、民主党が“消費税増税”を打ち出しているのに対し、小泉総理は「私の任期中には消費税増税はしない」として、まずは行政のムダ遣いを徹底的になくそうとする姿勢である。道路公団をはじめとする特殊法人の改革、社会保険庁解体、そして、地方公共団体のムダ遣い改革と、着実にムダ遣いを削減し、その分を年金、福祉に回してきているのである。

(4)確かに、総理の頭の中の大部分が郵政のことにとらわれ、景気対策、年金などの社会保障改革や他の重要課題にももう少し気を配ってほしい面はあるが、自民党の雰囲気を変え、政・官・財の癒着構造を確実に壊しているのは間違いない。この改革路線に反対して、既存の利権を守ろうとする抵抗勢力の話に乗ってはならない。

5.(1)ちなみに、民主党は、郵政民営化については、対案(自分たちの独自案)も出さず、ただただ廃案を主張するのみである。若手の民主党の中には「本当は賛成なんだけど」と打ち明ける親しい若手議員もいるが、労働組合の意向を優先し自分たちの案も出せないのである。「天下り反対」「特殊法人全廃」と叫びながら、公的管理のもと340兆円もの資金を特殊法人などに流し続けることを何故許すのだろうか。

(2)このことは、社会保険庁改革でも同じである。、民主党は有効な改革案を出せないでいる。社会保険庁の職員は、昼休みに住民の方の問い合わせにも応じず、皆さんの年金の掛け金で購入したマッサージ器でマッサージをしていたのである。また、社会保険庁長官は、自分の同窓会の会費まで、皆さんの年金の掛け金を使っていたのである。このようなことが許されるはずはない。我々自民党の若手は、徹底的にムダ遣いを追求し、年金の掛け金を他の用途には使わせないこととした上、社会保険庁そのものの解体、出直しを行うこととしたところである。
しかしながら、この社保庁改革についても、民主党は何らの有効策も出せなかったのである。労働組合が様々な覚え書きを結んで改革に抵抗していたからである(労働組合がすべて悪いわけではなく、現に私も今、パートタイム労働者の待遇向上について、労働組合の代表の方々と議論を重ねているところであり、一定の役割を果たしているとは思うが)組合の意向を最優先し、必要な改革のできない民主党にこの国を任せるわけにはいかない。

6.話が広がってしまったが、この郵政民営化に関して、最も大事なことは、340兆円の使い途である。国が管理することなく、市場を通じて必要とされる企業に流れていくべきことである。日本経済にプラスになることは間違いない。そして、このことについて郵便局には責任はない。国の責任である。郵便局においては、今後とも、地域に密着した全国一律のユニバーサルなサービスを提供していただくことが期待されるし、このことは引き続きしっかりと応援してまいりたい。