とっておきの1枚

2009年12月20日
冬のお薦め読書(その5)

「そうだ葉っぱを売ろう!」(横石知二著:ソフトバンククリエイティブ刊)
田舎の農家再生、そして町おこしに打ち込んだ情熱家の物語である。あの有名な徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」である。この上勝町に縁もゆかりもない横石知二さんが、上勝町農協に営農指導員として就職し、葉っぱビジネス、即ち、お弁当や料理屋で使われる葉っぱ(つまもの)ビジネスを3億円近い売り上げに育てるまでの物語である。きっかけは、冷害でみかん栽培がダメになったこと。この大ピンチをチャンスに変えた。(私の総裁選出馬も自民党大敗の結果の一つであり、大ピンチの中で、私にとっては大きなチャンスであった。力不足でものにはできなかったが、貴重な経験を得た。)このみかん不作を機に、様々な作物に新たな挑戦をするとともに、葉っぱビジネスのきっかけをつかんだのである。しかし、最大のポイントは、この横石さんという、寝食忘れて働く素晴らしい人を得たことである。安月給も全く気にせず、ひたすら、市場とそして送り先である料理屋や旅館を回って、必要とされるモノや情報をつかみ、農家の方々と一緒に挑戦する。この横石さんがいたからこその成功である。こういう人をかつては、「コーディネーター」と呼んでいたが、最近では「ソーシャル・キャピタリスト」とも言われる。いわば「触媒」となる人である。地域活性化には、この「触媒」となる人が必要である。政治家も本来は「触媒」機能を発揮しなければならない。自分の私利私欲のためだけに働く人はダメなのである。地域の活性化や農業の将来を考えている多くの方に読んで頂きたい一冊である。