とっておきの1枚

2007年10月17日
ニッシーの秋の夜長のおすすめ読書(その②)

「北方領土問題」(岩下明裕著:中公新書)

大佛次郎論壇賞を受賞した力作である。この本も先般のロシア出張の時に読んだ。前半のロシアと中国の領土交渉解決のプロセスは、たくさんの地名が出てきてやや混乱する(この部分は流し読みでもよい)が、後半の論理展開は素晴らしい。北海道の住民の意識調査や幅広い取材に基づいた仮説・提案が提起される。目からウロコなのは、領土面積に加えて「排他的経済水域」の広さにも着目していることである。実際の政治は、もっと複雑な方程式を解く作業であり、粘り強い交渉が必要であるが、本著は一つの重要な視座を与えてくれる。今後、より議論を深めていきたい。