とっておきの1枚

2007年3月26日
「大地の咆孝」(PHP研究所)

本著は、現代中国の現状を、冷静な目で分析した絶好の一冊である。著者は、壮絶な癌との闘病生活を経て、昨年亡くなられた杉本信行・元上海総領事。外務省のいわゆる「チャイナ・スクール」と呼ばれる、中国語を専門とし主として対中政策に関わる外交官グループにありながら、やみくもな「親中派」ではない杉本氏の遺作である。ご自身の長年の中国勤務での経験に基づき、歴史的背景も踏まえながら、現代中国が乗り越えなければならない課題を的確に整理している。根底には、中国への深い愛情も感じられ、中国の今を知る必読書である。